堺市長候補 野村ともあきブログ

堺市長候補 野村ともあきのブログです。チーム堺で堺市を守るために戦います。

大阪の政治の現場で今起きていること

(※本記事は2014年7月10日時点の内容です)
このところ政治関連で大きなニュースが多く、それらに埋もれてあまり報道されることも世間で話題になることもないのですが、今、大阪府・市の政治の現場では大変に重要なことが起きていますので、ブログに書いておきたいと思います。


報道によると、橋下徹大阪市長松井一郎大阪府知事大阪府・市の議会が求めた臨時議会を招集しないことを表明したそうです。首長が議会を開くのを拒否するというのもちょっと考えられない事態ですが、さらに信じ難いことに、橋下氏は会見で「形式上、法違反になったとしても首長の判断だ。選挙で審判を下せばいい」と述べたそうです。法を犯すことに形式上も事実上もないと思いますが、行政の長が法違反を明言してまで議会を開かせないというのは、地方自治のみならず法治社会のあり方を根底から覆す暴挙です。


数年前に鹿児島県の阿久根市で首長が議会の開催を拒否し全国的なニュースになったことがありました。当時の竹原信一阿久根市長は、条例案や人事案件を議会に諮ることなく専決という形でどんどんと決めてしまい、「異常事態」として全国に報道されました。人口22,000人の阿久根市でもあれだけ大きな問題となったのです。人口880万人を超える大阪府政令市である大阪市でこのようなことがまかり通れば、その影響は比較にならないでしょう。事実、都道府県並びに政令市における前例のない重大な事件として、総務省は強い懸念を示しています。


大阪はなぜこのような事態に陥ったのでしょうか?
事の経緯について記しておきたいと思います。


今回の問題に至った最大の要因は、橋下氏(とその追認機関である大阪維新の会)が大阪都構想をスケジュールありきで強引に進めようとしてきたことにあります。
大阪都構想は現時点でほぼ実現不可能な状態に陥っておりますが、それをなんとか形にしようと橋下氏と維新の会は相当な無理をしているのが事実です。それが冒頭で述べた「法を犯してでも」という行動にまで彼らを踏み込ませているのでしょう。


事の発端をどこに置くべきか迷いますが、平成25年(2013)1月18日の第7回「大阪にふさわしい大都市制度推進協議会(以下、推進協議会/推進協)」が閉会(“へいかい”です)された時から話をしたいと思います。


大阪都構想に関する議論の場は「推進協」と、現在の「大阪府大阪市特別区設置協議会(法定協議会/法定協)」という二つの段階を経て来ました。ざっくり言うと、推進協は大阪都を含めた大都市制度について広く協議する場であり、法定協は特別区設置(=大阪都)を前提に“区割り”や“区の財政”などを具体的に決めていく場です。


まず推進協では「そもそも大阪都は必要か?」という“入り口論”が議論されていましたが、この結論がまだ出ていない第7回目の推進協において維新の会から法定協への移行が唐突に提案されました。議論が途上である中、大阪都を前提にした法定協への移行には、当然、維新以外の会派は反対しましたが、橋下氏から「法定協でも反対の意見を言えば良い」という発言があり法定協への移行が進められました。この発言は後に「大阪都構想の制度設計をする法定協の場で反対の意見ばかり言う」と橋下氏が批判し、翻されます。


さて、漠然としたイメージしかなかった大阪都構想でしたが、いざ法定協で詳細を詰めていくと様々な問題が表面化しました。特に、根拠もなく喧伝されていた財政効果や特別区の効率性などに関して維新の会の主張と現実に大きな乖離があり、都構想そのものへの疑問が噴出しました。制度設計を担当する行政当局からは4つのパッケージプランと呼ばれる制度案が示されており、協議会ではそれらを元に議論をしていましたが、第12回の法定協議会(2014年1月)で、突然、維新側から「4つも案を議論していては時間がかかる。1案に絞りたい」旨の提案がなされます。


各案を検証した結果、1案に絞るというのならわかりますが、あらかじめ1案に絞って検証するというのはおかしな話で、意思確認がなされた次の第13回法定協議会では維新以外の全委員が反対をしました。ここで各委員が反対したのは「案を絞る」ことについてであって、議論は継続される予定でしたが、会の終盤、委員の松井大阪府知事が「案がなくなったので法定協の閉鎖を議決して欲しい」と意味不明の発言をします。この発言は浅田会長も意味を計りかねたようで、議決は行われず、会長からは次回開催日が告げられました。
しかしその3日後、2月3日に橋下氏は出直し市長選を行うことを表明し、法定協は中断されます。


本ブログでは何度も主張してまいりましたが、この出直し市長選に至る一連の流れに私は違和感しか感じません。批判でも反対でもない、なんでそこで市長選になるのかわからない、という「違和感」です。繰返しになるので詳述はしませんが、この出直し市長選挙大阪都を進めるための行政手続き上も、政治的な力関係においても、何の変化も改善ももたらしませんでした。


そして市長選後、何があったのかわかりませんが、大阪都に関する議論は5ヶ月もの間ストップします。
(ところでもうみんな忘れていますが、推進協から法定協への移行の際、橋下氏は衆議院選挙(2012年12月)を理由に法定協設置条例の議会への上程を見送り、議会を閉会するということを行いました。ここでも約2ヶ月ほど都構想の議論は遅れることになりました。都構想の議論が遅れた期間のうち半年以上は橋下氏個人の都合によるものです)


6月も終わろうかという頃、にわかに動きがありました。維新側は大阪府議会の議会運営委員会で自民・民主の2名の法定協議会委員に規則に反する発言があったとして維新の委員に入れ替えると言い出したのです。初めに聞いた時、「議運でそんなことが決められるのか」と私は耳を疑いました。議運はあくまで議会の円滑な運営を図るための委員会です。法定協の規約には「法定協の委員は議会が推薦する」とされていますが、果たして議運の決定が議会の意思と言えるのか疑問が残りました。
大阪府議会では議会全体では維新の会は相次ぐ離党により過半数を割っていますが、議運委員会内では過半数を持っています。府議会議運の中だけで進められたこの委員の入れ替えは、解釈の曖昧さと制度の網の目を突いた極めて正当性に疑義の残る行為でした。
そもそも大阪“市”長選の結果で府議会に手を加えるというのもおかしな話ではあるのですが。


このような著しく正当性を欠く維新の行為に対し、大阪市会(床田正勝議長/自民党)は「現在の法定協は正常ではない」として大阪市会からの委員を推薦しないことを決定します。また大阪府議会選出の委員のうち公明党の2名の委員も法定協を欠席する方針を固めました。
この時点で、市会議長1名+市会選出委員8名+府議会選出公明党委員2名=11名が法定協を欠席することになり、20名で構成する協議会の出席者が過半数に満たず流会の可能性が出てきます。すると維新の会は再び府議会議運で正当な理由もないままこの公明党委員の2名も維新の委員に入れ替える決定を行いました。なんと、大阪府議会からの選出委員がすべて維新の委員となったのです。結果、法定協の委員構成は、会長(浅田均/府議/維新)、府議会議長(岡沢健二/維新)、会長を除く府議会選出委員7名、橋下大阪市長、松井大阪府知事の維新のみの11名で出席過半数を確保し開催するという異様な状態となりました。


このような状況に臨んで府議会・市会の維新以外の会派は、法定協の委員選出数を各議会の会派の議席数に応じて決めることを義務付ける条例案を提出することを決定し、臨時議会の招集をそれぞれの首長に求めました。
ところが、あろうことか首長が議会の招集を拒否した……というのが冒頭で述べた現在の状況です。


実は、冒頭でも触れた阿久根市の前例によって、首長が議会の開催に応じない場合は議長が議会を招集するように地方自治法が改正されています。
少し細かい話ですが、自治法の規定では開催要請から20日以内に首長は議会を招集しないといけませんが、首長が招集しない場合は議長が10日以内に招集することとなっています。今回のケースの場合、6月25日に開催要請があったので20日後の7月15日が首長が招集する期限であり、拒否した場合の議長の招集期限は25日となります。


さて、ここから先は憶測ですが、一部報道や知事・市長周辺の噂によると、この25日までに維新だけの法定協を複数回開き協定書(設計図)を作り上げてしまおうという流れもあるようです。協定書の作成には総務省との協議も含まれており現実的には相当キツい(というか無理な)スケジュールですが、仮に25日に間に合わない場合も、橋下氏は再議権を行使し(あるいは松井知事に再議権を行使させ)委員入れ替え条例案を潰すことを明言していますので、さらなる時間稼ぎも可能です。
もちろん協定書は後に府市両議会の議決が必要であり、現在の両議会の構成からすると可決の見込みはありません。しかし、どのような形であれ「協定書」と呼べる物が完成していれば、両首長が議会を通さず専決処分で協定書を成立させられる……そんな噂も絶えません。そうなれば後は住民投票を残すのみです。


しかし現実の手続きとして、もしこんなやり方を実際に許せば、民主主義や法治社会は成立の前提を失います。
最後の最後で余談になりますが、再議権の行使や専決処分などは頻発するようなものではありません。長い大阪府議会、大阪市会の歴史の上でも再議が行われたのは橋下氏が知事と市長を務めた時がともに初めてだということです。
元代表制における議会の重要性というものを、今一度、首長、議員ともに考え直すべきではないでしょうか?


ずいぶん長いエントリになりました。
急いで書いたのと、私の不見識のため、誤字脱字から事実誤認まで、文中におかしなところがありましたらご指摘下さい。


■参考リンク(時間の経過によるリンク切れはご容赦ください)

○維新、野党委員の入れ替え強行…大阪都法定協で:読売新聞(YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20140628-OYO1T50002.html

○市議会枠9人欠席へ 都構想法定協 3日再開 - 大阪日日新聞
http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/140703/20140703036.html

○知事・市長が臨時議会の召集拒否…都構想巡り:読売新聞(YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20140710-OYO1T50005.html

○橋下大阪市長「知事が再議権」 法定協巡る野党条例案可決なら:日経新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASHC2900K_Z20C14A6AC8000/

大阪府大阪市特別区設置協議会の開催概要
http://www.city.osaka.lg.jp/toshiseidokaikakushitsu/page/0000207789.html

大阪府大阪市特別区設置協議会規約
http://www.city.osaka.lg.jp/toshiseidokaikakushitsu/page/0000206212.html