野村ともあき【非公式】ブログ|前堺市議会議員

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堺市議会第3回定例会(8月・9月議会)が閉会しました

主に前年度決算を審査する、堺市議会第3回定例会(8月・9月議会)が閉会しました。

 

今定例会、私は本会議代表質問、総務財政委員会、決算審査特別委員会総括質疑と会期を通して質問に立ちました。詳細は後日公開される議事録に譲りますが、以下に各質疑の概要だけをご報告させていただきます。

 

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議会はまだ残暑の残る8月末に開会しました。

9月に入ってすぐ行われた本会議代表質問で私は、平成29年度決算における「教育環境整備」「起債の意義」「超少子高齢化社会」「医療環境整備」「百舌鳥・古市古墳群世界文化遺産登録以後の取り組み」について堺市当局の財政の方向性と中長期的な展望について質問をしました。

教育環境の整備では今夏の異常な暑さを受け、堺市が昨年度中に公立学校園へのエアコン設置を完了していることを評価いたしました。政令市であってもエアコン設置が進んでいない自治体があり、国での予算化もこれからという中、堺市がいち早くエアコン設置を完了させたことは、事業の先見性から評価できます。多くの学校施設が更新期を迎える今後も、計画的効率的に環境整備を進めるよう要望いたしました。

一方で、学校やインフラなどのハード整備には多額の予算が必要です。通常、地方公共団体はこれらの整備に「起債」という方法で債権を発行し市場から資金を集めますが、このことがよく「自治体の借金」として槍玉に挙げられます。「借金は悪いこと」という意識が社会に根強くあるためと思われますが、公共部門の支出は社会全体のために使われるものですので、個人のそれとは意義が異なります。少し難しい話になるので詳細は別稿に改めますが、社会資本整備を行わないと社会の発展はありませんし、それを起債で補うことは将来世代との負担の公平性や、各年度の歳出の平準化、便益の発生の即時性などから大きな意義があることを確認し、財政当局に対しては投資の効果が最大化されるよう努力を求めました。

次に超少子高齢化社会到来への備えと医療環境の整備について質問しました。
私は「第三次ベビーブーム」を起こせなかったのは国の大きな失政であると考えていますが、過ぎたことを嘆いても仕方がないので、中央、地方の政府部門は、すでに不可避となった超少子高齢化社会をどう乗り切るかを考えなければなりません。
第一次ベビーブーム世代が後期高齢者年齢に達するいわゆる「2025年問題」をひとつの区切りとして、危機的な状況にある介護保険事業制度と、近畿大学医学部附属病院の移転などで大きく変わる市内の医療環境の整備について、的確に対応するよう要望し、また政令市として先進的な取り組みを示すことで、全国のモデルケースとなるような役割を果たすよう求めました。

最後に、いよいよ来年に迫った百舌鳥・古市古墳群世界文化遺産登録に向けて、昨年度までの評価とそれ以降の取り組みについて方向性を確認しました。平成19年に、堺市大阪府羽曳野市藤井寺市の4者が共同で文化庁に対し世界遺産暫定一覧表記載資産候補として「百舌鳥・古市古墳群」を提案してから今年で11年になります。この間、百舌鳥古墳群周辺の環境整備は著しく進んだことは評価いたします。
私の子どものころは天皇陵、古墳の周辺は荒れ果てた状態で、景観や環境も良くなかった記憶があります。また戦後の経済優先、歴史伝統文化の軽視の風潮から100基以上あった天皇陵と古墳のうち半数以上が破壊されたことは、百舌鳥の地が紡いできた1500年の歴史上、最悪と言って良い「汚点」であり、子孫に対する慚愧の念に堪えられない思いを感じています。
環境整備には多額の予算が必要です。また市民意識の向上にも象徴的な契機を設けることが重要です。

世界文化遺産登録は、1500年以上に渡るこの地の歴史を、さらなる100年、1000年先の次代へつなぐための事業であることを強く意識し、堺市当局には高い志と崇高な理念で、古墳群の保存、継承にあたっていただくことをお願いしました。


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代表質問の翌日は、台風21号到来のため議会は休会となりました。既報の通り、台風21号の被害は甚大で堺市堺市議会としても復旧、復興に追われました。
そのような状況下で、台風到来の10日後に行われた総務財政委員会では、当初予定していた質問内容を変更し、災害対応に絞って質疑を行いました。
今回の台風通過後、堺市への問い合わせが殺到し電話回線が輻輳(パンク)したことへの状況確認と今後の対策。緊急時の職員間の連絡方法の改善と再構築について。主に、緊急時の初動における庁内の安否確認、連絡、情報共有の方法について確認しました。
著しい被害のあった災害ではありましたが、それぞれ今回の経験をしっかりと検証し、今後も発生が予想される新たな災害に備えるよう要望をいたしました。

また総務財政委員会では久しぶりに委員間討議を行いました。テーマは「行政評価について」。
決算審査では、堺市の約1,000項目に渡る事務事業について、予算執行は適正であったか、事業の効果はどうであったかなどを議会として審査しますが、すべてをつぶさに審査することは現実的には困難です。
討議では、先日委員会で視察した町田市さんの「自治体間ベンチマーキング」などを参考に、堺市における事務事業評価のあり方についてなどを議論しました。町田市さんの取り組みは先進的でまた効果も顕著なものであることを全会派の議員が認めておりましたので、非常に良い議論ができたと感じました。


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さて、会期も終盤となり決算審査特別委員会が開催されました。総務財政委員会から連休をはさんで中二日というタイトなスケジュールでしたが、私からは以下5項目の事業について、効果と今後の取り組みを質問しました。
■災害に対する財政面の備えについて
熱中症対策について
■さかい子ども食堂ネットワークについて
■国際交流員招致事業について
■自転車まちづくりについて

まず「災害に対する財政面の備え」として、堺市では『堺市大規模災害被災地等支援基金』を設置しており、大規模災害発災時に必要となる緊急の復旧復興のための支出に備えています。基金残高は4億3千万円ほどですが、当然のことながら東南海南海地震のような大規模地震が起きた場合、この額ではとても足りません。この場合、国へ財政的支援を要請することになりますが、発災直後は一刻を争う状態なので、平時から迅速な要望ができる体制構築に努めるよう求めました。

続いて本会議代表質問でも取り上げた「暑さ対策」について市立学校園の現状について尋ねました。特に取り上げたのは「熱中症指数計」の整備状況についてで、現状、備品としては安価なため学校現場では消耗品費から校長の専決で整備をしているとの答弁でした。私は最低でも1校1台の整備を教委として行うべきと考えておりますので、安価であるのであればなおさら確実な整備を行っていただけるよう、今後要望していきたいと思います。

子ども食堂については、本年から私の地元でも開設されるなど、着実に事業の進捗が見られます。質問では他市の事例等も紹介しながら、事業継続性にも留意した施策の実行をお願いしました。

次の国際交流員招致事業とは、一般社団法人自治体国際化協会という組織が実施している外国青年を任用する制度(JETプログラム)です。先の災害時等を顧みても、日本人職員では対応が難しい外国人のための業務は多く様々な需要があると考えられます。決算面から見ると、実は任用のための費用はほとんどが国の補助(交付税加算)となっているため大変「お得」な制度であるので、今後の積極的な活用を求めました。

最後の「自転車まちづくり」については、私の強い思いを込めて質問をさせていただきました。
昨年5月に施行された自転車活用推進法に基づき、本年6月、国の「自転車活用推進計画」が閣議決定されました。これから日本は健康的で環境にやさしい自転車の利用を国を挙げて推進していくことになります。今後は全国の自治体が地方版「自転車活用推進計画」を策定し、それぞれの地域で自転車のまちづくりを進めていくこととなります。
堺市は自転車の世界的企業であるシマノが立地し、古くは鉄砲産業にまで歴史をさかのぼる自転車産業の町です。堺市は早くから「自転車のまち」を標榜し、大規模大会の誘致や走行環境の整備、シェアサイクルなどの先駆的な事業を展開してきました。しかしながら近年の自転車ブームによって、自転車をまちづくりや観光の目玉に活用しようとする自治体が急増し、堺市が自転車施策で後れを取っている現状に私は強い懸念を抱いています。
今回の質問では、私個人の具体的なアイデアも提示しながら、「自転車の聖地」として堺市が名をはせるくらいの取組みを進めるよう強く要望をいたしました。
具体的なアイデアの内容につきましては、別途まとめて私の政策として公表したいと思います。


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今定例会の会期中には大きな災害や、また自民党の総裁選もあり、大変あわただしい日程となりました。この後の議会の動きとしては、決算審査が終わり来年度の予算要望というのがが例年の流れです。
来年には統一地方選挙もありますので、しっかりと堺市政の発展のため、また堺市民の生活に資する予算の編成を要望してまいりたいと思います。