「大阪出直しダブル選挙」に意義はあるか

統一地方選挙が約3ヶ月後に迫る中、大阪の政局が大きく動いている。
毎日新聞は12月24日の朝刊トップで、松井一郎大阪府知事、吉村洋文大阪市長が、統一地方選挙と同日(平成31年4月7日)に知事・市長選を行うことを念頭に、辞職する意向があることを伝えた。

松井知事は出直しダブル選挙を行う理由として、大阪市を廃止し特別区を設置する「いわゆる大阪都構想」の是非を問う住民投票の実施に関し公明党との調整がつかなかったことを挙げ、26日に行われた会見の中で、住民投票実施に関する公明党との「合意書」なる文書を公開した。

松井知事は会見の中で、「公明党には何度も煮え湯を飲まされてきた」と述べ、そのため「出すことはないと思っていた」文書を一方的に暴露するに至ったと言う。

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公開された「合意書」には、「平成29年5月議会で法定協議会を設置する議案を可決すること」と、「議論を尽くすことを前提に、今任期中で住民投票を実施すること」の2点について、両者が合意したことが示されている。

 

「いわゆる大阪都構想」は、国内を代表する大都市である大阪市を廃止・分割するという前例のない制度の改変で、大阪市民はもちろん、日本全体にとっても極めて大きな影響力を及ぼすものである。その制度設計には慎重かつ緻密な議論が必要であり、「合意書」にあるようにスケジュールありきで進めるような政策ではない。

 

また維新・公明両者の間では、住民投票実施の期限を巡って、文書中の「今任期」という文言が「知事・市長任期(19年11月まで)」を指すのか、「議員任期(19年4月まで)」を指すのかで、水掛け論のような議論が展開されている。確かに合意書の文面はどの任期を指すのかが明確ではないが、双方の主張が平行線をたどるのは、そもそも「合意書」が「証文」として機能していないからである。

 

このような杜撰極まりない取り決めに端を発する政党間の揉め事(しかもそれは大阪府政と直接何の関係もない)を理由に、数十億円の税金を費やして出直し選挙を行うなど到底許されることではないし、両党は府民市民から政治の責任を問われてもおかしくないだろう。

 

今回の騒動を見ていると、維新の会の前代表であった橋下徹氏が多用した「自らの意見が通らないから不意打ち選挙に訴える」「キャスティングボードを握る公明党を秘密の暴露や恫喝で屈服させる」手法が思い出される。

実は大阪の政界周辺では、以前から知事の辞職と不意打ち選挙の噂が耐えなかった。橋下氏の後継者である松井知事には、旧来からの手法で煮え切らない公明党に揺さぶりをかけて住民投票実施の同意を取り付ける狙いがあったのだろうが、毎日新聞がすっぱ抜き報道各社が追従したことによって、出直し選挙が避けられない状況に追い込まれつつある。

二つの首長選挙に勝ち、同時に府市両議会で過半数を握るのは簡単なことではない。

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自治体の首長は任期途中で辞職し同じ職に当選しても任期は変わらない。つまり知事・市長がともに変わらなければ、11月に再びダブル選挙を行うこととなってしまうため、現在の情勢では、知事と市長の入れ替えか、松井氏の参院選への鞍替え出馬の可能性が高いとされている。
両首長は年初早々の予算編成の目処がついた時点で意向を表明するというが、有権者の理解が得られるだろうか。

 

来年度は新天皇陛下の即位に伴う改元や、G20首脳会談、ラグビーワールドカップ、万博開催準備の本格化など、大阪の政治、行政の関係者は多忙を極めることになろう。

都構想より他にやるべきことは山積している。


この10年近く、政局に振り回され本来なすべき政策や業務がなおざりにされてきたことが、大阪の長期的な低迷を招いたのは間違いない。

 

一刻も早く、このような現状が打開されるよう、取り組みを進めていかなければならない。