野村ともあき【非公式】ブログ|前堺市議会議員

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堺市長選挙について(4)--選挙の争点その3「橋下維新政治に対する是非」

政治とは、他者に言語で働きかけることで「善い社会」を作る現実の営みである。優れた政治家には、他者を説得、啓蒙あるいは薫陶する能力と、「善い社会」を思い描ける感性が兼ね備わっていなければならない。


橋下徹という政治家は、前者の能力には長けているが、残念ながら後者の感性や良識という知覚に欠けるところがある。
橋下徹の掲げる一つひとつの政策や問題提議は人々の耳目を集めるが、それらを全体として捉え、それがどのような感性や思想から生まれたかを精査すると、彼の政治家としての観念的傾向が見えてくる。
既に多くの識者が指摘していることだが、橋下徹の思想的基盤は、過去と現在を否定しすべてを白紙にした上に、自らがより良い未来を描くことができると考える革命思想である。

彼の政策的キャリアの起点となったWTCビルへの府庁移転問題に始まり、大阪市の分市構想から大阪都構想、水道事業統合、市営地下鉄・バスの民営化、文楽クラシック音楽問題、各文教施設の廃止、公募区長、学校長の民間人登用、一連の市職員問題からオスプレイの八尾配備まで、代表的な多くの政策が反保守的な発想に深く根ざしている。
国旗国歌に関する異常なまでの統制を見て橋下徹を保守政治家と思い込んでいる人間は維新の会組織の中にも多いが、いわゆる右派政治家的な言動は国旗国歌に関するものだけで、原発竹島問題、慰安婦発言と米軍への風俗活用推奨などを挙げるまでもなく、橋下徹は保守ではない。


話が少々ずれたが、今日、問題にしているのはイデオロギーではなく、彼の政策立案能力である。
多くの人は、橋下徹に改革者としての漠然としたイメージを持っている。しかし先に挙げた各種の政策はもとより、彼が取り組んできた政策を一つひとつ見るとほとんど成果が出ていない、あるいは真実を糊塗したものが多い。既に多くの府民が知ることになった大阪府財政の黒字化の嘘や、現場を大混乱に陥れた上に財政的に手詰りな私立高校無償化の問題などもそうである。


そのような中で深刻な影響を受けているのがいよいよ明日告示を迎える堺市長選挙である。


ここに堺市長選挙に関する人物相関図を作成した。

堺市長選挙について(1)」で示したが、前回の堺市長選挙で橋下徹は、“実績はあり、失政のなかった”木原前市長を落選させた。その結果、堺市の様々な事業施策が白紙になり市政が停滞した。断っておくが、この事実は「堺市長選挙について(3)」で書いた竹山市政の成果を否定するものではない。現時点では、竹山市政で4年間来たというのは所与の条件であり、新たなまちづくりや政策を進めるために政策の連続性を重視しなければならない。


相関図を見ていただければわかるが、橋下徹は大阪の選挙において裏切りの連続である。前回の堺市長選では「行政トップの神様」とまで賞賛した木原氏を「太った馬」と罵って叩き落とした。統一地方選挙では維新の会を結成し、府知事選で自身を公認した自民党を壊滅状態に追い込んだ。2011年末の大阪ダブル選挙では、蜜月と言われた時代もあった平松邦夫大阪市長を自ら出馬することで落選させた。そして今回の堺市長選では、大阪都構想堺市の廃止分割を選挙後に言い出し、拒否した竹山市長に維新の候補者を擁立した。


橋下徹一人によって堺市の市政は既に10年の停滞期にある。このような破壊を繰り返すばかりの政治を続けてはならない。しかも今回の選挙はより深刻である。
大阪都構想の一番の問題は政令市に戻す方法がほぼないことである。数字的、データ的に破綻する可能性が高い制度の改悪であるにも関わらず、やり直しができないのである。大阪都構想が失敗すれば、堺市とは比較にならないほどの影響が大阪全体に及ぶことになるだろう。


文字通り、大阪の未来を守る戦いである。
必勝を期して明日からの選挙戦に臨みたいと思う。