野村ともあき【非公式】ブログ|前堺市議会議員

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大阪市立大学との統合に伴う大阪府立大学中百舌鳥キャンパスの移転には反対です。

大阪府立大学は、官立の獣医学、農学、工業、青年師範学校などを母体として、1949年に新制大学である「浪速大学」として発足しました。伝統的に獣医学、農学、工学の分野に強みを持ち、現在では生命科学情報工学、物理化学などに学域を広げています。
起源となる獣医学講習所が創立された1883年から現在に至る130年以上の歴史の中で、膨大な研究成果が蓄積されており、その沿革からわかる通り、まさしく堺市における「知の集積拠点」として、地域に計り知れない知的恩恵をもたらしてきました。

 

その府立大学が現在、「二重行政の象徴」として大阪市立大学との統合・移転の憂き目にあっています。

 

私は府立大学が立地する地域の選出議員として、統合・移転の問題が出てから、幾度となく議会質疑等を通じて、大学また中百舌鳥キャンパスの存続を訴えかけて来ました。この問題については堺市議会で一番取り上げてきた自負があります。

 

昨年30年2月の大阪市会で、大阪市の吉村洋文市長は公明党議員の質問に対し、「府大と市大の統合にあたってはキャンパスを集約し、森之宮が移転の有力な候補地である」「同種の学部学科は集約を検討する」「新キャンパスの建設費用は、既存キャンパスの土地の売却益等を財源とする」旨の答弁を行いました。

 この答弁は多くの関係者にとって寝耳に水の発言で、二大学の統合・移転ありきで話がされていることに、私も非常に驚きました。

大阪市会 会議録検索
http://search.kaigiroku.net/kensaku/city-osaka/menu.html

(平成30年1月、2・3月定例会常任委員会(都市経済)-02月16日)

 

府大市大の統合議案は、平成29年9月に大阪府議会で可決された後、大阪市会では継続審議となっていたものでしたが、結果的にはこの2月議会で大阪維新の会公明党による賛成多数で可決され、本年(2019年)4月から新法人に統合されることになりました。

このことは地元にとってはかなり大きなニュースなのですが、大阪市内のことなので、堺市の議員等で問題提議する人はあまりいませんし、堺市民もほとんど知らないのではないかと思います。

私は、大阪府立大学中百舌鳥キャンパスの移転ありきで話が進んでいることに強い焦燥感を覚えています。

 

SNSなどに何度か書いたことですが、私はそもそも「大学を減らす」ことが『改革』なのかという点に、大きな疑問を持っています。


都市にとって大学は「無駄な施設」なのでしょうか?

 

府市二つの大学は、創設の経緯や、建学の理念、校風などが異なり、それぞれの歴史や伝統を持っています。また、同じ学部学科でも、それぞれ強みや研究成果を持つ分野は大きく異なります。

志願者数においても両大学ともに倍率が1.0倍を切ることはなく、学部を絞ったり入学定員を削減することは志望者の学ぶ機会を著しく奪うことになりますし、(よく理由にされる)経営の観点からもマイナスです。


ここで、大阪府と近隣府県の公立大学の数を比較してみましょう。

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ご承知の通り、大阪府は近畿の中でも飛び抜けて人口の多い都市です。しかし、表の通り、人口に対して(国)公立大学の数は最も少なくなっています。人口割合ではなく絶対数でも、和歌山県以外の府県より少ないという状況で、大阪の大学環境は極めて貧弱であることが一目瞭然です。(なお、この傾向は私立大学を含めても同様です。)

大学を誘致できるなら誘致したいという自治体もある中で、なぜ優秀で学費も安く人気も高い、歴史も伝統も実績もある公立大学を減らなさなければならないのでしょうか。理解に苦しみます。

 

大学は、それぞれの地域における、まちづくり、産業、学術研究の拠点として、不可欠な施設です。堺市にとっても、大阪府立大学中百舌鳥キャンパスは、歴史的に見ても現在においても、絶対に必要な存在であることは強く訴えておきたいと思います。

 

府大市大の統合については、そのスキームにおいても課題が多く、作業が難航していると聞きます。「大阪市をなくす前提の都構想」がここにも影を落としています。
皮肉なことに、その間に各大学における様々な改革は進み、成果も上がって来たと言います。都構想議論全般に言えることですが、要するに膨大なコスト(ヒト・金・時間)をかけて効果が不明な大学統合などしなくても、改革はできるということです。
展望なき政治判断によって学問や研究分野の方々が振り回されるのは本当に気の毒でなりません。

 

我々自由民主党大阪府議会議員団を中心に、新大学法人設立後もそれぞれの大学を残す「1法人2大学」を主張しております。
個人的には法人の統合も不要だと思いますが、すでに決定してしまったことなので、せめて大学組織だけは2大学が堅持されるよう、これからも立地自治体の議員として働きかけを行ってまいるとともに、中百舌鳥キャンパスの移転には強く反対していく所存です。