野村ともあき【非公式】ブログ|前堺市議会議員

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安倍首相辞任と自民党総裁選について

7年8か月に渡って日本の政権を担った安倍首相が、病気の悪化を理由に辞意を表明した。
通算でも連続でも憲政史上最長となる政権運営には、様々な賛否も毀誉褒貶もある。

一年毎に首相が交代する不安定な政治情勢を安定させ、株価を回復し、国際社会で長きに渡り「日本の顔」として活動したことは、評価されている点である。
一方で、長期の政権運営は、特に内閣府と官邸への権力の集中が歪んだ省庁体制を肥大化させ、政治倫理の失墜を招いた。

公文書改ざん、汚職、行政の私物化など、通常の政権であれば一発アウトの不祥事をこれほど繰り返しながら、安倍政権が6回の国政選挙で圧勝を続け長期に渡って高い支持率を維持し続けて来られたのはなぜか。

私は、安倍長期政権を生んだ最大の理由は、政治的混乱に対する国民の強い拒否反応であると考える。

小泉政権が2006年に終焉して以降、日本の首相は6年間に6回も変わった。政治的混乱は国民生活を直撃し、経済、国土政策、教育、外交、安全保障などあらゆる分野に深刻な影響をもたらした。その痛みは、小泉政権民主党による政権交代の「熱狂と失望」に対する自戒と反省の記憶となって国民の無意識下に深く染み込み、有権者の自発的な政治選択の意欲を強く抑圧してきたと感じている。

民主的な圧力が弱まれば、当然為政者の専横傾向は強まる。また民主的な動きを封じ込めるためのパフォーマンスにも流されやすくなるであろう。この負の連鎖が現代における政治の劣化を生んでいる。

このことは我が国にとって深刻な課題だが、一朝一夕に解決できるものでもない。根源的要因となっている衆議院小選挙区制は導入から四半世紀を経てここまで来てしまった。課題解決のためにはおそらく同じくらいの時間が必要である。

さて、自民党では総裁の辞任に伴い後継者選びが始まった。一部報道によれば党員投票を行わない、あるいは総裁選すら行わず全議員総会で後任を選ぶ動きもあるという。看過し難い話である。

かつての自民党が国民政党として極めて堅牢な組織力を誇ったのは、党内に対しても国民に対しても民主的に開かれていたからである。
総裁選に限らずとも、民主的に選ばれなかったトップは支持されない。

事実上、日本の総理を決める直接選挙である自民党総裁選は、党員のみならず国民の大きな関心事であり、あらゆるメディアやネットから注視される。
総裁候補とならんとする方々には、堂々と国民の前に立っていただき、公正で民主的な手続きのもと、日本の舵取りを担っていただきたいと思う。
密室や排除の政治を行うようなことがあれば、自民党は、党員はもちろん国民からも支持を失うことになるだろう。


(見出しの画像は、2012年の政権復帰時における総裁選の模様。この時、なんば駅前には5000人以上が集まった)

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