野村ともあき【非公式】ブログ|前堺市議会議員

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良い機会なので大阪万博の「夢洲開催」にはっきりと反対しておきます

2025年大阪関西万博のロゴマークが発表されました。個人的に「まさか」の候補作が選ばれ、(世間の多くの方々と同様)大変、驚いています。
これからあのロゴマークが、ターミナル駅や空港や役所に掲げられたり、行政やスポンサー企業の皆様がバッジを付けたり名刺にロゴを刷ったりテレビCMの前後にロゴが流れたりするのを想像すると、なんとなく心がざわつくものがありますが、大阪関西万博がどうにか成功することを願ってやみません。
…と書いたところですが、巷で話していると、大阪万博の開催が「相当やばいこと」になってるのを多くの方がご存じないことに心配させられます。良い機会なので、ここに改めて2025大阪万博の現状についてまとめておきたいと思います。

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私は万博の誘致が決定した2018年当時から計画に相当無理があることを指摘して来ましたが、その後のコロナ禍もあり、実はさらに状況が悪化しています。

特に厳しいのが、万博とセットになっていたIR(カジノ)の開業が延期されたことで、本来であれば先にカジノを開業して事業者にアクセスルートである地下鉄中央線を延伸させる計画でした。ところがコロナの影響もあってカジノ事業者の選定は難航し、開業は万博の2年後の2027年にずれ込んでしまいました。
地下鉄延伸は今でも公募の条件に含まれているそうですが、この厳しい状況下で、IR建設より優先して地下鉄の整備を25年までに前倒しでやってくれる事業者が果たして見つかるでしょうか? 大いに疑問です。
同様に厳しいのが事業予算です。
事業予算は大きく会場の建設費と開催運営費の二つに分けられます。
建設費は約1200億円とされており、これを国、地方自治体(府市で折半)、民間で3等分する計画になっていますが、これもコロナの影響で、三者ともにかなり財政的に苦しく、特に民間から400億円もの協力を仰げるのか、そもそもこの経済状況で公共が民間に余計な負担を強いるのが政策的に適切なのか、大きな疑問を感じます。

一方、開催運営費は入場料収入で賄う計画になっていますが、これはコロナに関係なく、当初から私は無茶だと感じていました。計画では入場者の目標を2800万人(半年間)としていますが、これは万博会場の隣りにあるUSJの4倍近い動員目標です。どんなに万博が魅力的でも、これは現実的な数字だとは思えません。
そもそもこの来場者を物理的にさばき切れるアクセスルートが存在しないのです。
さらに、当然のことながらこれはコロナ以前に立てられた目標で、インバウンドの落ち込みも、ソーシャルディスタンスの確保も、考慮されていません。
(スポンサー企業が大量にチケットを買い上げるとかの裏技を使わない限り)どう考えても達成不可能な数字であると感じます。

そして、万博開催の最大の課題が「大阪都構想」です。
この秋に住民投票が可決されると、大阪市は2025年1月に廃止され4つの特別区になってしまいます。万博開催のわずか3か月前です。会場となる地元自治体が3か月前に廃止されるのです。こんな異常なことがあるでしょうか?オリンピックの開催3か月前にロンドンがなくなるようなものです。
またその移行のための行政事務量はすさまじいものになることが予想され、万博のような巨大プロジェクトと同時進行させるのは「狂気の沙汰」という他にありません。文字通り「狂っています」。

その他、建設期間中開催期間中を問わず災害のリスクが夢洲にはつきまといます。
過去の震災や台風でも隣接の咲洲舞洲、あるいは関空島では深刻な被害が生じ、地理的物理的両面で埋立地脆弱性を露呈しました。
しかも前述の通り、発災時には災害対策を担う大阪市も前線拠点である此花区も存在しないかもしれないのです。大規模災害時の知事への権限集中がいかに危険であるか想像できると思います。

はっきり申し上げますが、私は万博の夢洲開催に「反対」です。後戻りができなくなる前に、吹田の万博公園鶴見緑地やりんくうへの開催地変更や分散開催、計画の縮小を検討すべきであると強く提言しておきたいと思います。
(長文になりましたが、これでも書き足りないことは山程あります。皆で真剣に考えるべき問題です。)

※本稿はFacebookの投稿からの転載です。