高知県高知市で木材活用、防災対策、図書館整備について視察

高知県高知市堺市議会自民党会派で視察に行って参りました。
今回、私は視察の企画幹事をご指名いただきましたので、色々と事前の調査を行い、堺市政に資する内容となるよう行程を組ませていただきました。

 

初日の最初は、高知県庁にて県産木材の活用について座学レクと現地視察を行いました。
自民党堺市議団は本年度設立された「政令指定都市木材利用促進議員連盟」に所属し、日本の歴史と伝統に根ざした資源である木材の利用促進に取り組んでいます。
高知県は県内の森林面積率が84%と全国1位を誇り、2024年度から全国に導入される森林環境税を全国に先駆けて導入するなど木材利用の先進地域と言えます。国全体で林業振興が課題となる中、大規模な消費地である堺市でどのような取り組みが可能か、県庁の職員さんに教えていただきました。

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現在、木造建築の世界ではCLT(Cross Laminated Timber クロス・ラミネイティド・ティンバー)と呼ばれる建材の利用が急速に拡大しており、これまでの「燃えやすい」「地震に弱い」という木材のイメージが技術革新によって大きく覆されつつあります。実際に海外では木造の高層建築物(80階建てのビルも構想されている)や大規模施設が造られており、日本でも徐々に広がりを見せています。
CLTによる建築物には、大幅な工期の短縮やデザインにおける自然の美しさや優しさ、環境面などから様々なメリットがあり、公共部門による戦略的な普及促進を進める意義があります。

 

高知県では昨年度条例を定めて、県の公共施設には原則県産木材を使用することを義務付けており、様々な施設で木造、木質化が進められています。
座学の後、その実例として「高知県自治会館」を視察させていただきました。本施設は県内の市町村が共同で事務等を行うための施設で、津波の関係で地上3階まではRC造となっていますが、4階から6階までは木造となっています。
内外装ともに素晴らしいデザインの建築物で、改めて木の持つデザインの美しさに触れ、感動させられました。

 

国が木材の活用を推進する中で、全国の都市部の非住宅建築物はほとんどが木造以外で作られているのが現状であり、これを木材に置き換えていくことは、木材消費地である堺市にとっても重要なミッションです。
是非とも木造公共物の建設を市内で実現することを目指したいと思います。


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次に、今年の7月にオープンしたばかりの図書館を中心とした複合施設「オーテピア」を視察させていただきました。

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近年、これまでの常識とは異なるコンセプトの図書館が話題を集めていますが、この施設は、県立図書館と市立図書館を統合するという全国初の事例として大変注目を集めています。その運営方法も非常に先進的かつ個性的で、構想から10年を経て四国最大の図書館施設として開設されました。

 

現在、堺市においても中央図書館が更新期を迎え、その整備について議会でも議論が活発化しています。現在はまだ基本構想もない段階ですが、全国の先進的な図書館についてはできる限り情報を収集しておくことが重要であると考えています。

 

さて、オーテピアにはオープン以来3ヶ月で高めに設定した来館者目標をさらに上回るペースで人が訪れているとのことで、実際私たちが訪れた夕方には近隣の高校生で館内があふれていました。開架スペースはもちろん学習室や談話室も満席で、皆テーマパークにでも来ているかのように楽しそうにしている風景は、堺市の図書館ではちょっと考えられない風景でした。

 

点字図書館と科学館を併設する5階建ての本施設は、高知市で最も古い小学校のひとつだった旧追手前小学校の跡地に、県立図書館と市立図書館をともに移転統合して建設されました。移転統合には県市それぞれに反対の声があったそうですが、それらに地道に答えることで、全国に例のない県市連携の事業を成し遂げた関係各位のご努力に感服させられました。

 

明るくデザイン的な館内、私語OK、勉強可能、飲食スペースあり、ビジネス支援機能の強化、地域生涯学習支援、魅力的なイベントの開催などなど、全国に広がりつつある新コンセプト図書館の「ツボ」をしっかりと押さえながら、オーテピアがこだわったのは「統合で浮いた図書館経費はすべて新たな図書館運営に使うこと(つまり効率化ではなく機能の充実)」という方針だそうで、開館後には図書館司書を増やしレファレンスに徹底的に対応する体制が取られました。


また、近年は配架や書庫の自動化技術の進展も目覚ましいですが、オーテピアではできるだけ職員による作業を重視し、図書館職員の知識や技能の蓄積や向上を図っているとのことです。こういうことは予算がなければできませんし、極めて公共性の強い図書館という施設においては本当に重要なことであると感心いたしました。
なお言うまでもないことですが、オーテピアは指定管理等ではなく行政による直接運営です。

 

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翌日は高知市役所を訪ね、基礎自治体としての防災対策についてお話を伺いました。
ご承知の通り、高知市高知県)は地理的に南海トラフに最も近く、南海・東南海・東海地震の発生時には甚大な被害が予想されます。自治体は強い危機感をもって防災対策に取り組んでおられます。

 

当日は、議員団の有志で早朝から五台山という小高い山に登り、展望台から高知市内を眺望しました。天気も良く、素晴らしい眺めではありましたが、高知市は深く入り組んだ入江(浦戸湾)とせり立った中山間地が独特の地形の市域を構成しており、市民の住環境や避難方法がそれぞれの地域によって大きく異なるであろうことがわかりました。しかし高知市行政は、このような困難な環境の中で着実に防災対策を進捗させており、私はどのように、特に住民の防災啓発の面で対策に取り組んでいるのか強い関心を持ちました。

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市役所でのレクチャーでは多くのお話を聞く中で、過去の事例とエビデンスに基づく防災行動の啓発とハード、ソフトの整備を進めていることが特徴的であると感じました。
私が特に堺市でも取り入れたいと思ったのは防災士資格取得のための支援制度と費用助成です。私自身、議員となる前のことですが、堺市の支援で防災士資格を取らせていただきました。しかし現在では堺市の全額補助制度はなくなり、防災士の養成が進んでいないのが現状です。
高知市さんの取り組みは防災士の資格取得の全額補助ではありませんが、資格取得までは行かない方でも一緒に研修が受けられる仕組みで、市内615人の防災士に対し2,012人が研修を受講しており、その方々はそれぞれの地域の防災リーダーとして、地域に応じて知見を活かしているとのことでした。公助の行き届かないところには、このような取り組みで草の根のように防災意識を根付かせていくことが大変重要であると認識させられた次第です。是非、制度として参考にして参りたいと思います。

 

講義の後、桂浜の対岸にある種崎地区の避難タワーを視察いたしました。
日常使う施設ではないので簡素な造りではありましたが、堺市においても臨海部のスポーツ施設、商業施設、工場地帯などにおいて津波避難対策は大きな課題です。施設の構造や規模感などを実際に目で見ることができ、大変参考になりました。

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この度の視察では、私自身の関心から無理な行程を組ませていただき、詰め込み気味のスケジュールとなったことに少々反省をしておりますが、同行の議員から「大変学びの多い内容だった」との意見をいただきホッとしたところです。
何かとご手配、お世話をいただいた高知県庁、高知市役所、高知県市町村総合事務組合、そして堺市議会事務局の皆様に心より感謝し、今後の堺市政にしっかりと活かしてまいりたいと思います。