野村ともあき【非公式】ブログ|前堺市議会議員

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統一地方選挙結果に関する雑感(大阪・堺)

堺市議会議員の野村ともあきです。

4年に一度の統一地方選挙が終わりました。
私も4年前に3期目となる堺市議会議員選挙に当選をさせていただいたことを思い出します。あれから、堺市長選挙に出て失職したり、自民党をやめちゃったり、独立系の無所属政治家として活動したりと、色々なことがありすぎて、私自身を取り巻く政治環境も大きく変わりました。まさにあっという間の4年間でした。

そのような環境下で初めて迎える統一地方選挙でした。立候補されていた方の中には、この4年間、私自身がお世話になった方や、あまりお会いできなかった方、全く初めて出会う方々も大勢いらっしゃって、様々な思いを抱えながらの選挙となりました。

 

統一選の結果は、各種報道にあるように、維新の会さんが「大躍進」という結果となりました。これは大阪に限ったことではなく全国を含めた潮流となりつつありますが、こと大阪に至っては、既存政党が風前の灯火と言って良いほどの状況に追い込まれてしまいました。

特に、大阪市会においては維新の会が過半数を握るという、二元代表制を前提とする地方自治において非常に憂慮すべき状況を生んでしまっています。

 

「憂慮すべき」とは私が「非維新」の立場だから言っているのではありません。

自治体の首長には、一国の大統領にも例えられるほどの非常に大きな権限が与えられています。
旧五大市の筆頭に掲げられた大阪市は言うまでもなく日本有数の基礎自治体であり、予算規模も市有財産も桁違いに大きい。

「権力は必ず腐敗する」と言われますが、それをチェックしブレーキをかけるための存在が「議会」です。議会は、多様な住民の意見を受け止め、真摯で丁寧な議論によって、最高ではないかもしれないけれども最適な行政上の「答え」を探る場所です。それが機能しなくなると、少数意見は無視され、特定の団体の利害だけが優先される状況が生まれてしまいます。

それは私の杞憂ではなく、まさに先立って首長と議会の過半数を一党が占めることとなった大阪府議会がそうでした。大阪府においては補正予算が議会の審議を経ず知事の決定で執行される専決処分が46.8%という異例の高さとなっています。また、私の住む堺市では府議会の定数減が行われ、すべての選挙区が一人区(小選挙区)にされてしまいました。小選挙区はいわゆる「死に票」が多く、民意を正しく反映しているとは言えない課題の多い仕組みです。少なくとも二元代表制を採る地方議会においてはふさわしくない制度です。この結果、維新以外のすべての会派の議員は堺市から議席を失いました。堺市から維新以外の府議会議員はいなくなり、文字通り「独裁体制」ができあがったのです。

なにより我々が肝に銘じて認識しておかなければならないのは、これが「民主的な手続き」に則って「意図的に」築き上げられたという事実です。

おそらく大阪市においても同様の状況は進むでしょう。先例があるぶん、その速度は大阪府より速いかもしれません。

さらには中間自治体である大阪府基礎自治体である大阪市では住民に与える直接的な影響力は比較になりません。
基礎自治体が扱う事務は、上下水道、義務教育、保育所、地域福祉、地域経済、まちづくり、中核市以上であれば保健行政も扱います。どれも私たちの生活に極めて密接に関わるものばかりです。加えて、大阪市には激しい議論となっている夢洲開発、万博の開催とカジノの整備が控えています。

今後の4年間で大阪の政治がどのような方向に進んでいくのか、維新を支持された有権者も含め、厳しい目でチェックする必要があるでしょう。

この点について、私は政治家として、いくら警鐘を鳴らしても不安を煽り過ぎることにはならないと確信を持って主張します。民主主義は決して完璧な制度ではありません。すべての住民に理知的で自制的な警戒心が必要であることを強く指摘しておきたいと思います。

 

最後に、私の住む堺市に関しては、少し状況が異なる結果となったことをご紹介しておきます。堺市では統一選の直後に堺市長選挙が予定されています。

 

十数年前に私が堺市で政治の道を志してからずっと不思議だったのは、堺市には「自治」に対する意識(うまく表現できませんが、思いとか感度と言い換えることもできると思います)が際立って高いということです。
間違いなくこれは中世に成立した「自由・自治都市」の気風が影響しているのだと思います。

そのような堺市においては、「維新以前」においても政党政治に対する風当たりは強かったことを、私は元・自民党所属の議員として肌で感じておりました。

今回の統一選でもその傾向は顕著に現れることになりました。

 

堺市議会議員選挙においては、吉村旋風とも呼ぶべき知事選挙の影響をほとんど受けず、市議会の構成は前任期とほとんど変わりませんでした。もちろん区ごとの得票数や「選挙の綾(あや)」によって影響を受けた部分はなくはないですが、少なくとも堺市議会議員選挙は、同時に行われた大阪ダブル選、大阪府議会議員選挙のような結果にはなっていません。理由は様々に考えられますが、確たることは現時点では言えません。

直後に控える堺市長選挙がどのような結果になるのか、大変に注目されることになるでしょう。

 

私自身は、前述のように大阪の憂慮すべき政治状況を少しでも緩和できるような活動ができるよう、力を尽くしたいと思っています。