野村ともあきブログ|前堺市議会議員

野村ともあき公式ブログです。前堺市議会議員

「大阪市廃止・特別区設置 住民投票」を終えて

11月1日に行われた大阪市の廃止と特別区の設置を問う住民投票は、反対多数で否決されました。開票結果は、賛成67万5829票、反対69万2996票。17,167票差という前回同様の僅差でした。大阪市は存続し、従来どおり府と政令指定都市という枠組みで自治行政が行われることになります。

この間、大阪市廃止の反対運動にお力をいただきました方々に、まずは心より感謝と敬意を表します。本当にお疲れ様でした。

維新の政治手法との対峙

3週間に渡った住民投票運動を振り返ると、体力面よりも精神的にきついものがありました。

賛成派は『今は無いものを目指して、再挑戦が可能』という意識の中で戦っていたと思いますが、反対派は『今ある物を失う、やり直しのきかない一発勝負』という大きな不安や恐怖心に常にさいなまされていました。
例えて言うなら、「住んでいる家を改築しようとする」のと、「財産を奪おうとする人たちから家を守り、失敗すれば家を失う」みたいな違いです。その心理的プレッシャーは比較になりません。

さらに、「自らの背信と欺瞞によって生じる不都合を、相手に責任を転嫁したり一方的なレッテルを貼ったりすることで市民を扇動し、隠蔽すること」(私の過去のブログより引用)は、もはや維新の政治闘争における常套戦術となっていますが、今回も反対派の主張やメディアの報道が徹底的に排撃を受けました。
維新は他者の意見を攻撃すればするほど、自らの欺瞞や虚偽や虚構がうやむやになり支持が上がることをよく知っています。
高い発信力を誇るポピュリストが好んで使う、SNS時代以前にはなかったニューノーマルな扇動の手法です。

これは戦略的に意図してやっているので、話し合いで解決することは不可能で、対抗策は丁寧に「ファクトチェック」するしかありません。

ただ、二度の住民投票の否決を経験したことで、その戦術の限界というか及ぶ効果の範囲のようなものが見えたのは唯一の救いでした。
今後は、いかに精神的な徒労を乗り越えながら、この「民主主義の陥穽」を埋めていけるかが維新政治と対峙するカギとなるでしょう。

このことは住民投票にとどまらない、人類にとっての課題だと感じます。

反対運動の戦略展開について

維新の会は、極めて戦略的に政治闘争に取り組んでいます。政局、組織、広報、運動、戦力どれをとっても他の勢力とは雲泥の差があります。
ですから今回の住民投票に向けては、極めて計画的かつ戦略的に準備をする必要がありました。

住民投票への備えを始めたのはかれこれ1年以上前にさかのぼります。私の手元にある、具体的な住民投票対策を記した一番古い資料のタイムスタンプは昨年2019年の8月でした。第25回参議院選挙が終わった直後くらいです。

2019年夏と言えば、統一地方選、知事市長ダブル選、堺市長選、参議院選挙と、各級選挙で維新が歴史的な圧勝を続けていたさなかで、私は住民投票の実施に強い危機感を持っていました。
そんな中、堺市長選挙で落選していた私に、住民投票対策の準備会のようなものを有志で立ち上げるので手伝って欲しいとお声がけがあり、参加しました。

最初期に行った世論調査の結果は20ポイント弱の差で「賛成多数」。割と絶望的な数字からのスタートでした。
しかし、最終結果は僅差になるであろうことはわかっておりましたし、そもそも実施前に「反対多数」では住民投票自体が実施されません。ボールは維新の側が持っているのです。
「賛成多数」からスタートし、住民投票実施が決定してから追い上げ、ゴールで差し切るという非常に厳しい戦略しか選択のしようがありませんでした。

準備期間中は、コロナの影響や、公明党の変節、自民党賛成派の出現、吉村人気の急上昇など、様々な予期せぬ出来事がありましたが、調査分析、理念、政策、戦略戦術、組織体制などを一つずつ練り上げていきました。

詳細は明かせませんが、それらの中には成果のあったもの、効果のなかったもの、できなかったこと、色々あります。
ここでは、自戒の念を込めて「できなかったこと」を書き留めておきたいと思います。

「対案」に対する考え方

反対運動に取り組む中で、やはり今回も「対案を出せ」という指摘やご意見を数多くいただきました。自民党は「反対」ばかりという声も何度も聞きました。

我々は「対案」を考えていなかったわけではなく、「都構想にはデメリットしかないのでやらずに、政令指定都市としての権限や財源を活かした都市経営をするべき」と主張していたわけですが、具体的な政策となると「中小企業支援や、公教育の再生や、区役所の権限強化」などを挙げるしかありませんでした。しかしこれでは、「大阪をぶっ壊す」「大阪を都にする」のような(ウソもちりばめられた)強烈なインパクトに対抗できなかったのは事実です。

そんな中、今回の住民投票で「特別自治市構想」が注目されました。
特別自治市とは政令指定都市の権限をさらに高める仕組みで、いわば都構想の逆バージョンです。
特別自治市そのものはかなり以前からある考え方で、特に横浜市が熱心に研究を続けています。私も議員時代、横浜市に視察に行き、堺市で制度的に可能かを検討したことがあります。
また、今回の住民投票で大都市制度について関心が高まる中、神戸市や福岡市も関心を示しているという報道がありました。

私は、政策協議の中で都構想の対案としてこの特別自治市を提案しましたが、制度的に法的な裏付けがあるものではないこと、府(議会議員)との調整が必要なことなどを理由に、あまり積極的に採用されることはありませんでした。「そもそも都構想に対案をぶつける必要なない」という意見も根強くありました。
結果、反対派の主張が「批判と否定一辺倒」となったことは認めます。

ただ、対案を出すことが正しかったのかどうかには迷いがあります。曲がりなりにも協定書まで完成している「いわゆる都構想」に対し、未熟な政策で議論を挑むことは、「大阪市廃止そのものの賛否が問われている住民投票」においては、軸がずれるからです。
住民投票は「A案」と「B案」を選ぶものではなく、「A案ひとつ」に対して○か×かを示すものだからです。

ただし、住民投票の結果を受けて多くのメディアや識者が指摘されているように、「いわゆる都構想」に否決という民意が示された今こそ、新たな大都市制度について議論を始めることが求められています。
それは大阪で首長を任されている維新にも、国政与党である自民党にも言えることです。
もちろん「特別自治市」も重要な選択肢になるでしょう。
今後、建設的な議論が大阪から広がることを期待します。

失われた10年」の先へ。

最後に、この住民投票に何かしらの「意義」を見出すとすれば、それは「大阪が、大都市制度の議論について、国内で最も先進的な地域となったこと」です。

我々は、類を見ない規模で行われた「都市を廃止分割する」という壮大な議論の経験を、得難い奇貨として今後の政治、行政に活かしていかなければなりません。

10年にもおよぶ不毛な論争を続けた結果、大阪の経済成長や教育政策は停滞し。都市(まち)は疲弊しました。コロナの影響で、来年はさらに深刻な状況となるでしょう。維新による失われた10年を取り戻すのは容易ではありません。

私も引き続き、何かの一助となれるよう微力を尽くしてまいる所存です。

ありがとうございました。

 

f:id:nomuratomoaki:20201104154553j:plain

 

創価学会員の皆さまへ

f:id:nomuratomoaki:20201029113639p:plain

大阪市廃止・特別区設置住民投票の投開票日まであと3日となりました。

 

改めてお伝えするまでもありませんが、私は大阪市の廃止に「反対」です。
それは政局や立場から「反対」しているのではなく、本心から、大阪都構想は必ず市民を不幸にすると考えているからです。

 

大阪都構想には巨額のコストがかかります。コストが生じれば何かの予算を削らなければなりません。もしその予算削減が、コロナで苦しむ中小企業への支援や、生活困窮者のセーフティネットや、子どもの虐待防止や、防災減災への取り組みに及ぶようなことがあれば、大げさでなく、市民の生命(いのち)や、財産や、なにより「生活」が脅かされるのです。

 

大阪市廃止は政局や支持政党によって判断するような政治課題ではありません。私たちの日々の生活、くらしに関わる極めて重大な問題です。一人ひとりが、自身の生活に置き換えて真剣に考える必要があります。

 

私は、公明党の代議士先生の選挙区で、友党である自民党所属の市議会議員として活動してきました。地元の学会員さんは、私が10年以上、自公政権の要であるこの地元選出の代議士先生を、お支えしてきたことをご存じていただいているはずです。
また、昨年亡くなった父親は自治会の役をしておりましたので、そんなご縁もあって、地元の学会員さんには長年、公私にわたり大変にお世話になって来ました。私は、創価学会の皆さんが、明るく献身的に地域のことに取り組んでおられるのを、敬意をもって見続けてきました。私は、皆さんが平和で穏やかな生活を最も大切にしておられるのを知っています。

 

政治と行政の役割は、住民の生活を平穏に保つことだと思います。派手なにぎやかさのようなものはなくとも、安全で快適な住環境や、質の高い生活インフラ、豊かな教育環境などが備わった町を創ることが、政治と行政の使命だと考えます。
しかし、果たして今の大阪の政治はその役割を担えているでしょうか。

 

大阪都構想」は、私たち住民の生活を守れないばかりか、平穏なくらしを壊そうとするものに他なりません。
住民に遠いところで政治を行い、弱者を切り捨て、公共を壊し、経済的豊かさをカジノに託す。
これが私たちの望んだ大阪の町づくりだとは思えません。


維新の会とともに大阪の政治を担う方向に舵を切った公明党は、国政における自公連立のように、政策をより良い方向へ修正する役割を担うものと思っておりました。
しかし、強力な援護を得た維新の会は逆に暴走し、住民投票の制度設計やコロナ対策で住民不在の政治を推し進めています。

 

私は、都構想の制度設計に対して公明党が示した4条件が、都構想を現実的な制度にすることを期待しました。しかし実際の設計作業で、維新の会が性急に工程を進めたため、精緻さを欠いたものになってしまいました。
気になるのは、それを取り繕うために虚言や詭弁を重ね、事実を糊塗し、あからさまに有権者をだましにかかっている維新の姿勢に公明党が加担させられていることです。

 

公明党の議員さんは、大阪市は消滅すること、都にはならないこと、2度と元には戻せないこと、特別区自治体として最低ランクであること、大都市制度としては政令指定都市がベストであること、住民サービスが確実に下がること、ぼう大な初期コストがかかること、ランニングコストは年200億円が不足すること、市民の税金が府にむしり取られること、経済効果1.1兆円などあり得ないこと、財政見通しにコロナの影響が含まれていないこと、裁量的経費が1/3に激減し到底住民サービスが維持できないこと、24区役所を残すというのが完全な詭弁であること、庁舎の建て替えなしにはまともに業務が行えないこと、住所表記の変更は自己負担であること、市民利用施設の大幅な削減が予定されていること、水道事業の先行きが極めて不透明なこと、市民が築き上げた水道施設がすべて府に取り上げられること、市民の公園も府に移管されること、保育所に入りにくくなること、義務教育の教員の質が下がる懸念があること、教育の機会均等を維持するのが困難なこと、災害対応にも大きなリスクがあること、特別区間の格差が深刻なこと、異常な規模の一部事務組合によって生活行政がまともに担えない懸念があること、都構想と万博開催の同時進行が不可能に近いこと、カジノ(IR)事業がとん挫しかかっていること、維新の10年間で大阪はほとんど成長していないこと、いまコロナ禍で住民投票を行う必要は全くないこと……などについて、学会員の方々の前で堂々と、論理的かつ公明正大に説明ができるのでしょうか。

 

誠実で実直であるべき「生活の党」が、市民の小さな声に背を向け、どんどんかけ離れた方向へ引きずられていってることを心の底から憂慮します。

 

創価学会員の皆さまへ。

 

どうか今回の住民投票では、私たちのくらしのために、大阪のために、そして公明党のためにも、「反対」を投じてください。
大阪市の廃止が回避されれば、また一から再スタートできます。

 

未来に希望を託して、勇気を振り絞って記します。拝

大阪都構想のコスト218億円増ってどういうこと?

昨日、毎日新聞に掲載された「都構想のコスト218億円増」という記事が大きな波紋を呼んでいます。

実は、大阪市会の自民党会派はかなり以前から、「いわゆる都構想のランニングコストは200億円くらいかかるはずだ」と指摘してきましたが、維新の会と行政側の副首都推進局がこれを退け、課題が放置されたまま住民投票に突入したという経緯があります。

一つの自治体である「大阪市」を、4つの自治体に分割すればコストが増えるのは誰でもわかると思います。
先日、芸能人のシルクさんがわかりやすい例えをしていました。
「一つの家族が、4つバラバラに住むことになったら、冷蔵庫もテレビも4台ずついりますやん」
まあ、そういうことです。(同様のことは基本のき その○にも書いてます)

これまで、副首都推進局による公式の試算でもランニングコストは毎年30億円増えるとされてきましたが、維新の会などは、この増加分は効率化などでカバーでき、黒字化が可能と主張してきました。
ところが今回、大阪市財政局から都構想は毎年200億円が不足するという試算が示されたのです。

住民投票期間中に示された市役所内の見解の相違に、関係者は大あわてとなり、松井一郎市長をはじめ大阪市廃止推進派は火消しに追われています。

大阪市廃止推進派は今回の報道に対し「単純な4分割では正確な試算にならない」の一点突破を図るつもりのようですが、そもそも自民会派が「正確な試算」を求め続けたにも関わらず、首長を擁する維新と、「丁寧な説明を行う」と言っていた公明党は、この要求を黙殺し住民投票を強行しました。

少しおさらいをします。

自治体は、やらなければいけない仕事の量に応じて必要な経費を計算します。ところが全国のほとんどの自治体は、この経費に対して収入が足りず、国からお金(交付税)をもらっています。
しかし、大阪市がなくなってから大阪市民の皆さんが住むことになる特別区は、この交付の対象ですらない最低ランクの自治体で、国は、先ほどの「冷蔵庫理論」によって増えてしまったコストの面倒を見てくれません。

例えて言うなら、今まで大家族で住んでいた時には冷蔵庫もテレビもお風呂も1セットで済んでて、ありがたいことに家計の足りない分は勤め先から手当が出ていたのに、4家族バラバラに住むようになったら冷蔵庫もテレビもお風呂もインターネットも水道の基本料金も4家族分必要になってしまった上に、手当もなくなり、家計が200億円不足することになった、みたいな感じです。

自民党会派は「そもそも4家族に分かれるのも反対だけど、分かれるなら分れるで、どれくらい家計が増えるか計算すべきでしょ」と言い続けて来たのに、大阪市廃止推進派はずっと無視して来たのです。

なぜか。

冷蔵庫理論の通り、悪い数字が出るのは小学生でもわかることだったからだと私は考えています。

大阪都構想によって生じる、全く無駄な、ぼう大なコストのしわ寄せは、必ず住民サービスの低下につながります。

私は今回の騒動の最大の問題は、200億円が正しいかどうかということよりも、大阪市廃止というとてつもなく重要な判断を市民に求めているにも関わらず、推進派が説明を尽くすのではなく事実を隠蔽しようとしてきたことにあると思います。

「都にはならない都構想」であることをはじめ、大阪市廃止推進派には、徹底的に市民をあざむこうとする態度が、その言動にありありと表れています。

このような理不尽、不誠実、不条理な大阪市廃止構想に対し、市民の生命、財産、生活を託すことは、到底できません。

住民投票では、棄権や白票ではなく、必ず「反対」に投票してください。

都構想をゼロから理解するその3 その都構想のイメージ、間違ってます

10月12日、いよいよ「大阪市を廃止し特別区を設置することについての住民投票」が告示を迎えました。
私も大阪入りし、街頭活動などをお手伝いしておりますが、市民の関心も大きく高まってきたことを感じます。
現在の感触では賛成、反対ともに同じくらいのお声があり、結果はまったくわかりません。
これから20日間、しっかりと「反対」のための訴えをしてまいりたいと思います。

しかし、大阪市内で色んな方とお話をしていると、賛成・反対に関わらず、「いわゆる都構想」の制度について誤解と言いますか、誤ったイメージで捉えていらっしゃる方が多いなあ、と感じます。
細かい内容について間違っている、というのではなく、そもそもの「いわゆる大阪都構想」の前提となる「イメージ」です。

前提となる部分が間違っていると、住民投票の賛否にも誤った影響を与えてしまいますので、告示という区切りを迎えたタイミングで、一度ちゃんと整理しておきたいと思います。

 

ポイントその1 色んな意味で「都」構想じゃない

今回の住民投票の【正式名称】は「大阪市を廃止し特別区を設置することについての投票」です。
この住民投票大阪市民が問われているのは、読んで字のごとく
大阪市を廃止して、特別区を設置しても良いですか?」
ということです。

「『都』になることに賛成ですか?」
ではありません。

そもそも大阪が「都」になることはありません。都にする法律もありませんし、そんなことは住民投票で一切聞かれていません。

しかし、「大阪も東京みたいに都になるんやったらええやん」とおっしゃる方は結構いらっしゃって、世間的に定着してしまった「大阪都構想」という名前が大きな誤解を生んでいるなあ、と感じます。

今回の住民投票は「大阪都構想への賛成反対」ではなく、「大阪市を廃止しても良いか、ダメか」であるということを多くの方に伝えたいと思います。


ポイントその2 新しくできる特別区は「それぞれ完全に別の自治体」

今回の制度変更について、ほとんどと言って良い方々がお持ちなのが、「24区が4区に統合されてスリム化(効率化)する」という誤ったイメージです。

これは新しい「天王寺区中央区、北区、淀川区」という区の名前が、今までの区と同じ名前なので錯覚しているのだと思います。

ここは非っ常~~~に重要なポイントで、
今回の住民投票で「24区→4区になる」のではなく、「一つの大阪市が4つの特別区にバラバラにされる」というのが正しいイメージです。

今現在24区ある「行政区」は、大阪市が包括する地域の区割りであり、○○1丁目、○○2丁目のような関係です。例えるなら兄弟です。

一方、新しい4つの「特別区」は、それぞれが完全に独立したフルセットの自治体で、豊中市守口市東大阪市松原市のような関係です。人に例えるなら完全に他人です。
そしてこれらの区域を包括していた大阪市は消えてなくなります。

ほとんどの大阪市民さんは、今回の住民投票に、大阪市内の中で区が統合される「合区」のイメージを持っています。

しかし正しくは、大阪市が消滅させられて、新しい自治体が4つ生まれることであると、イメージしていただきたいと思います。


ポイントその3 「いっぺんやってみたらええねん」が通用しない

「反対ばっかりしてんと、いっぺんやってみたらええねん」

はい。街なかでものすごく言われますが、それは通用しないんです。
一度、大阪市が廃止されてしまうと、元に戻すことは不可能なんです。

一方で、住民投票は何度否決されてもやり直せます。事実、今回は2度目です。「勝つまでじゃんけん」と言われるゆえんです。

私は「大阪市の廃止・特別区移行は、絶対ロクなことにならない」と確信していますが、それでもひょっとしたら大阪が良くなるかもしれへんからいっぺんやってみよか……という方がいらっしゃったとしても、リスクが大きすぎるのです。


ポイントその4 ようわからんから今回は棄権するわ。または白票にしとくわ。

ダメです。住民投票は1票でも多い方に結果が決まります。
必ず投票に行って、反対なら「反対」と投じないと「反対」の意思表示にカウントされません。

ポイント3で言ったように、可決(賛成多数)は「一発確定、やり直し不可」、否決(反対多数)は何度でもやり直しされてしまいます。

ですから、よくわからないからと言って棄権してしまうと、あなたの意志と全く関係なく、大阪市の廃止が決まって後戻りができない可能性があるのです。
ほんの少しでも疑問、違和感、不審な点を感じるのなら、とにかく投票に行って「反対」を入れていただかないとダメなんです。
この文章を読まれた方は、どうかこのことを一人でも多くの大阪市民にお伝えいただくようにお願いします。

本当の本当にお願いします。私もがんばります。

f:id:nomuratomoaki:20201013022515p:plain

 

都構想をゼロから理解するその2 いちばんやさしい二重行政の解説

◆二重行政とは何か?

二重行政とは簡単に言うと、「国⇔都道府県⇔市町村」の間で同じような建物や同種の事業がつくられてしまうことです。皆さんの生活に身近な例を挙げると、美術館や図書館や病院や大学などがあります。これらの施設には国立、府立、市立のものが併存しているのは事実です。

大阪市は古くから大都市として発展してきたので、その間に色々な施設を造ってきました。それらの中には、たしかに大阪府が造った施設やサービスと似たようなものがあります。

いわゆる大阪都構想とは、これらの重複施設やサービスが「無駄」なので、大阪市をつぶして、大阪府がまとめて管理してしまおうという考え方です。
これは一見、合理的な考え方のようにも思えます。
しかしよくよく整理して考えると、いくつかおかしな点や矛盾があることに気づきます。順に解説します。

 

◆都構想による二重行政解消はコスパが悪い

ひとつ目は、仮に都構想が二重行政の解消に役立つとしても、「費用対効果=コストパフォーマンス」にまったく見合わないという点です。

都構想のコストについては諸説ありますが、公式の数字+新庁舎建設費を合わせると約1000億円になります(※)。

一方で、二重行政解消の効果額は、色々あって現在は39億円~67億円というのが公式の数字です。ちなみに前回の住民投票で判明した額は、都構想全体の効果でも1億円程度しかありませんでした。

わずか数十億円の二重行政解消のために1000億円をかけて大阪市をつぶす。こんなバカげた話もないと思います。

余談ですが、1000億円がどれくらいの金額かと言うと、都構想賛成派が二重行政の象徴としているさきしまコスモタワー(旧WTCビル)の総事業費よりは少し安く、りんくうゲートタワーの建設費より高いくらいです。

また、賛成派が二重行政の負の遺産として挙げている閉鎖施設群「ラスパ大阪、海の時空館、フェスティバルゲート、ふれあい港館、リフレうりわり」の事業費を全部足しても、都構想のコストの方が高いです。

もちろんこれらの施設のずさんな経営はほめられたものではありませんが、都構想のコストがいかに高いかはおわかりいただけると思います。


◆都構想で二重行政は解消するどころか、もっと悪い『多重行政』が生まれる

二つ目は、都構想で二重行政は解消されないどころか今よりひどくなるという点です。

都構想では、これまで大阪府大阪市の「1:1」だった関係が、大阪府:4特別区の「1:4」の関係になります。力関係は変わっても、「府と市」→「府と区」へと、垂直的な二重構造は変わりませんし、4つの特別区の間でも水平的なお金(財源)の奪い合いが必ず生じます。
1:1だから二重行政で済んでいたのが、5つの利害関係者となれば二重行政、四重行政どころか、「十重行政=ディカプル行政」とでも呼ぶべきカオスな状態になってしまいます。

「そんなことは府がさせない」という声が飛んできそうですが、選挙で選ばれた区長が民意を背景にしている限り、それは非常に困難です。そもそも特別区の権限を東京都のそれより強化することを、大阪都構想は売りにしているのですから。
一方で、「東京都はうまく行ってる」という意見もよく聞きますが、東京都はものすごくお金持ち(不交付団体と言います)な上に、都内で特別区に人口が集中しているという構図が大阪府と決定的に違うので、比較になりません。

ちなみに、東京の特別区もいわゆる「箱物」を多く持っています。美術館やスタジアムや複合施設など、都立と区立の重複施設はたくさんあります。東京都民の皆さんがこれを二重行政と認識しているかは別にして、特別区でも箱物は造られるのです。
(このあたりの事情は余力があれば、別項に詳しく書きたいと思います)

さらに都構想によって、別の深刻な多重行政も生じます。
都構想では、ごみ処理、介護保険、住民情報システムの運用などの住民生活に直結したサービス(水道も可能性がある)は「一部事務組合」という組織が担うことになっています。これは府でも区でもない、「中二階」のような組織で、住民からは中途半端に遠く、府も直接関与ができません。
また、すでに他の自治体が加入していたりと、非常に複雑でいびつな組織になることが予想されます。
これは、住民生活の根幹を支える部分に1.5重行政を作るようなもので、行政の効率化やスリム化とはほど遠い制度で、大きな課題を抱え込むことになります。

f:id:nomuratomoaki:20201013000606p:plain

◆二重行政解消は「ゼロコスト」で今すぐやれば良い

三点目は、二重行政の解消は今すぐできるし、しかもタダという点です。

結果が良いか悪いかは別にして、すでに府市の二重行政であった地方衛生研究所、信用保証協会、病院、大学などで統合は進んでいます。
このことが示すのは、二重行政の解消は「別に都構想でなくてもできてしまう」という皮肉な事実です。しかも、余分なコスト1000億円をかけずに。

「いやそれは維新の府知事、市長による『バーチャル都構想』だからでできることで、これを制度的に恒久化(固定化)するのが都構想だ」という反論もよく聞きます。しかし都構想では、第2点目の指摘通り二重構造が解消されるわけではなく、利害関係者が増えることでかえってややこしくなりますし、第1点の指摘通りタダでできていることになんで1000億円も費やさないといけないのか、合理的な説明がつきません。

最後に何より問題なのが、まさしく「恒久化(固定化)」されること、すなわち「元に戻せない」ことです。
1000億円をドブに捨てることになっても、ディカプル行政で収拾がつかなくなっても、一度大阪市が廃止されてしまうと、二度と元に戻せません。

 

二重行政解消という「ショボいリターン」に、大阪市廃止という「大博打」を打つことが、いかに割に合わないことか、すべての大阪市民の皆さんに知っていただきたいと思います。

大阪都構想をゼロから理解する~その1

本日9月3日、大阪市会においていわゆる大阪都構想の設計図となる「協定書」が可決され、11月1日前後を目途に住民投票が行われることが確実となりました。

投票日まで2か月を切っているわけですが、私が大阪市内でよく聞くのは「エエっちゅう話も、アカンていう話もあって、ようわかれへん」という声です。
また市外の方から「よく知らないけど、どういうこと?」というお話もしょっちゅういただきます。

大阪都構想は、「大阪市を廃止し特別区を設置する」という、市民生活に直結する「前例のない制度の大変更」ですから、すべての方が内容をしっかり理解した上で、投票することが大切です。
また大阪市という大きな都市を無くしてしまうというのは、日本全体にとっても重大な影響を及ぼすことが予想されますので、ぜひ大阪市外の方にも内容を知っていただきたいと思います。

というわけで今回からシリーズで、都構想をゼロから理解するための「基本のき」「イロハのイ」のような内容を、できるだけわかりやすく書くことにしました。

ぜひお読みいただき、よろしければ周りの方々にもおすすめしていただきたいと思います。

ところで、本文と画像は、意味を改変しない限り、どなたでも自由に利用、配布していただいてかまいません。

---
■今の「○○区」と、都構想でできる「▲▲区」はまったく別モノ
現在の大阪市には24の区があり、それが都構想では4つの特別区になります。
24区→4区ということで、なんとなくすっきりスリムな町になるような印象をお持ちの方はいらっしゃいませんか? 実はそのイメージは根本的に間違っています。

これまでの24区は、大阪市の一部としての区域です。谷町と本町みたいに、地域の違いと考えていただいてかまいません。

ところが新しくできる特別区は、完全に独立した別々の組織になります。新しい淀川区天王寺区は、豊中市吹田市のような関係で、まったく別の市町村のような存在になります。それぞれに選挙で選ばれた区長さんがいて、町として独立した運営がなされます。

つまり、24区→4区に「統合」されるのではなく、ひとつの大阪市が4つの特別区に「バラバラ」になるというのが正しいイメージです。

また“特別区”という名前から、なんとなくスペシャルな街に格上げされるよう印象がありますが、これも誤りです。

都道府県や市町村には「やれること」が決められています。例えば「大阪府警」「兵庫県警」というように、警察は都道府県しか持てません。小学校は原則、市町村の管理です。その他、道路の管理や福祉の仕事まで、市町村にはそれぞれ「やれること」とその予算である「お金」が割り振られています。
その中で「特別区」は東京都にしかない仕組みで、国→都道府県→市町村の関係でいうと、なんと「村」以下の扱いなのです。

もっと細かくいうと、大阪市は市町村のなかでも最高の「政令市」という市ですが、特別区になると村以下の扱いになってしまうのです。
特別区になってしまうとお金は都道府県に持っていかれるし、これまで大阪市でできていたことも自由にすることができなくなります。

特別区」は「良い方に特別」なのではなく「悪い方に特別扱い」されるのだ、ということを知っていただきたいと思います。

---
特別区に変わるには、ものすごくお金がいる。
新しい特別区は、独立した市町村と同じで別々の組織であると言いました。独立した組織ということは、あまり人やモノの貸し借りがしにくいということです。つまり自前でなんでも用意しないといけなくなります。

例を挙げると、小中学校を運営するための教育委員会や、住民の代表として行政をチェックする議会、色んな仕事をサポートする総務的な部署、区長部局、選挙管理委員会などは、これまで大阪市で一つあればよかったのが、4つ必要になります。もちろんそこで働く人も、その人たちが使う机もパソコンも四揃え必要になります。今までだったら1台で共有できていたコピー機が4台必要になるイメージです。それらを置く物理的なスペースも増えます。

これらのコストは公式の試算でも年30億円、大阪市自民党会派の独自試算では年200億円にのぼるとされています。
さらにシステムの更新や様々な組織変更、地名などの表示の変更に最低240億円が必要です。

言うまでもありませんが、これらの費用は大阪市のままなら必要ありません。
前項で言いましたが、何千億円もの税金を使って、町として格下げされ、やれることは限られてしまうのに、それを上回るメリットって何なんでしょう?
(このことはこれまで議会や法定協議会で何度も質問されていますが、都構想賛成派の明確な答えはありません。つまりメリットは「ない」のです)

---
■むちゃくちゃ過ぎる新しい区役所の仕組み
前項で、特別区になるためにはものすごくお金がかかると言いましたが、実はさらに隠されたコストがあります。

今回の協定書(説明書)がズルいのが、前回はコストに含まれていた区役所の建て替え費用を省いてしまったことです。
ひとつの大阪市を4つの自治体に分けるのですから、当然、大きな市役所のような建物が4つ必要になります。その費用は300億円以上かかるとされていました。
しかし目先のコストをごまかすために、とりあえず区役所の建て替えはしないことにし、足りないスペースは中之島の今の市役所とそれぞれの24区の区役所で補うことになっています。

ん? おかしいと思いませんか?
別々の組織になったはずの4つの区の職員が旧市役所に集まって仕事をし、場所が足りないから24区の区役所でも仕事をするのです。
大阪人なら「ほな今のままでええやんっ!」と突っ込みたくなります。

住民の側にしても、どこでなんの業務がされているのかわからず、混乱が予想されます。例えば新・中央区などでは、旧・住吉区役所と、新中央区役所と、中之島の旧市役所と、その他の新区内の旧区役所と、ATC庁舎でたらい回しに合うということも現実的に起きうるのです。コントのネタが一本できそうな話ですね。
住民サービスは維持するどころか確実に低下すると思われます。

それだけではありません。
災害が起きた時、現24区の区役所は災害対策の地域拠点となっていますが、ほとんどの区役所で職員が少なくなるため、発災時の現地状況の把握、初動対応、避難所の開設、地域での給水給電や復旧復興作業、各種事務業務などで深刻な機能低下が心配されます。

特に新淀川区は淀川をはじめ河川が多く、災害によって移動手段がマヒする恐れがあります(現実に大阪北部地震でありました)。しかも、この新淀川区役所は、平時から900人の職員が中之島で仕事をする計画になっているのです。
こんな異常で恐ろしい職員体制はないと感じます。

こんなむちゃくちゃ過ぎる区役所の仕組みを作るのに、241億円と毎年30億円をつかうと言うのです。どれだけおかしい話かおわかりいただけるでしょうか???

---
■まだまだ続きますが、いったんここでひと区切り。
以上のように、わずか3つの項目でもあまりにむちゃくちゃ過ぎてすごい長文になってしまいました。
その他の問題もまだまだいっぱいありますので、引き続き、できるだけわかりやすくお伝えしていきたいと思います。

f:id:nomuratomoaki:20200903202939p:plain

 

良い機会なので大阪万博の「夢洲開催」にはっきりと反対しておきます

2025年大阪関西万博のロゴマークが発表されました。個人的に「まさか」の候補作が選ばれ、(世間の多くの方々と同様)大変、驚いています。
これからあのロゴマークが、ターミナル駅や空港や役所に掲げられたり、行政やスポンサー企業の皆様がバッジを付けたり名刺にロゴを刷ったりテレビCMの前後にロゴが流れたりするのを想像すると、なんとなく心がざわつくものがありますが、大阪関西万博がどうにか成功することを願ってやみません。
…と書いたところですが、巷で話していると、大阪万博の開催が「相当やばいこと」になってるのを多くの方がご存じないことに心配させられます。良い機会なので、ここに改めて2025大阪万博の現状についてまとめておきたいと思います。

f:id:nomuratomoaki:20200903095456j:plain

--
私は万博の誘致が決定した2018年当時から計画に相当無理があることを指摘して来ましたが、その後のコロナ禍もあり、実はさらに状況が悪化しています。

特に厳しいのが、万博とセットになっていたIR(カジノ)の開業が延期されたことで、本来であれば先にカジノを開業して事業者にアクセスルートである地下鉄中央線を延伸させる計画でした。ところがコロナの影響もあってカジノ事業者の選定は難航し、開業は万博の2年後の2027年にずれ込んでしまいました。
地下鉄延伸は今でも公募の条件に含まれているそうですが、この厳しい状況下で、IR建設より優先して地下鉄の整備を25年までに前倒しでやってくれる事業者が果たして見つかるでしょうか? 大いに疑問です。
同様に厳しいのが事業予算です。
事業予算は大きく会場の建設費と開催運営費の二つに分けられます。
建設費は約1200億円とされており、これを国、地方自治体(府市で折半)、民間で3等分する計画になっていますが、これもコロナの影響で、三者ともにかなり財政的に苦しく、特に民間から400億円もの協力を仰げるのか、そもそもこの経済状況で公共が民間に余計な負担を強いるのが政策的に適切なのか、大きな疑問を感じます。

一方、開催運営費は入場料収入で賄う計画になっていますが、これはコロナに関係なく、当初から私は無茶だと感じていました。計画では入場者の目標を2800万人(半年間)としていますが、これは万博会場の隣りにあるUSJの4倍近い動員目標です。どんなに万博が魅力的でも、これは現実的な数字だとは思えません。
そもそもこの来場者を物理的にさばき切れるアクセスルートが存在しないのです。
さらに、当然のことながらこれはコロナ以前に立てられた目標で、インバウンドの落ち込みも、ソーシャルディスタンスの確保も、考慮されていません。
(スポンサー企業が大量にチケットを買い上げるとかの裏技を使わない限り)どう考えても達成不可能な数字であると感じます。

そして、万博開催の最大の課題が「大阪都構想」です。
この秋に住民投票が可決されると、大阪市は2025年1月に廃止され4つの特別区になってしまいます。万博開催のわずか3か月前です。会場となる地元自治体が3か月前に廃止されるのです。こんな異常なことがあるでしょうか?オリンピックの開催3か月前にロンドンがなくなるようなものです。
またその移行のための行政事務量はすさまじいものになることが予想され、万博のような巨大プロジェクトと同時進行させるのは「狂気の沙汰」という他にありません。文字通り「狂っています」。

その他、建設期間中開催期間中を問わず災害のリスクが夢洲にはつきまといます。
過去の震災や台風でも隣接の咲洲舞洲、あるいは関空島では深刻な被害が生じ、地理的物理的両面で埋立地脆弱性を露呈しました。
しかも前述の通り、発災時には災害対策を担う大阪市も前線拠点である此花区も存在しないかもしれないのです。大規模災害時の知事への権限集中がいかに危険であるか想像できると思います。

はっきり申し上げますが、私は万博の夢洲開催に「反対」です。後戻りができなくなる前に、吹田の万博公園鶴見緑地やりんくうへの開催地変更や分散開催、計画の縮小を検討すべきであると強く提言しておきたいと思います。
(長文になりましたが、これでも書き足りないことは山程あります。皆で真剣に考えるべき問題です。)

※本稿はFacebookの投稿からの転載です。