野村ともあき【非公式】ブログ|前堺市議会議員

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堺市長選挙にまつわる選挙戦裏話エトセトラ

全国の注目を集めた堺市長選挙は、現職竹山おさみ候補が維新候補に約58,000票の差をつけて勝利しました。
実際に選挙を戦った者からすると、票差からは見えない部分で心身ともに大変キツ〜い選挙でしたが、まずは結果が出たことに安堵をしております。
今はご挨拶周りや選挙の間にたまった仕事の処理に追われているのですが、選挙戦について忘れないうちに、ざっとですが書いておこうと思います。


■選対について
相乗り選対についての懸念は実はかなり早い段階からありました。
各党寄り合い所帯の竹山選対は動きが鈍く、意見も通らず、精神的に常にフラストレーションを抱えながらの活動でしたし、身体的には、これまで目の当たりにしてきた維新のすさまじい人海戦術に対抗するため、焦燥感に駆られながら少ない人員でかなり無理な街頭活動も展開しました。
首長選挙で自・民の相乗りというのは珍しいものではありませんが、共産党まで自主支援したことで、街頭活動の日程、場所など調整が行き届かず、選挙戦の激しさが増してくると、駅前が混沌とした雰囲気で一触即発の状態になったことも度々ありました。
ただしこちらの記事によると急ごしらえの維新さんの選対も色々問題を抱えていたようで、かなりいっぱいいっぱいの状況だったことが伺えます。
選挙の体制という点では、どちらの陣営も大変厳しい現状でした。


一方、選挙資金には大きな差がありました。詳細な金額は私の知るところではありませんが、維新側は竹山陣営の数倍の額の選挙資金を投入したと噂されています。最終盤に巨大ビジョンカーが導入された時には想像を絶する資金力に戦慄すら覚えました。このことは先の衆院選以降、維新の会が正式に「政党」となったことが大きいと考えられます。今後、維新と選挙を戦う者は、支援者や所属議員から細々と運営資金を集めていた頃の維新とは全く違う組織になっていることを強く認識する必要があるでしょう。


■争点について
勝因や相手方の敗因については、すでに各方面で様々な指摘がなされていますが、我々の中でも「争点をどこに置くか」について議論がありました。
当初、「大阪都構想」をワンイシューの争点にすることについては様々な意見がありましたが、「相手の土俵に上るべきではない」という意見が主流で、都構想の争点化を避ける動きがありました。今からすれば「大阪都構想」という言葉にそれほど神通力があったのかと不思議な感覚ですが、1ヶ月ほど前は確かにそんな感じだったのです。


ところが維新側の方が、意図したのかそうでないのかはわかりませんが、都構想を前面に出さず、竹山市政への批判、文化観光拠点や市民会館、LRTのような政策の是非を争点にしようとしてきました。しかし、これらの政策はまだ始まってもいない施設整備で、客観的な評価が難しいものです。また堺市の中心部に限定したもので、堺市全体に議論を巻き起こすほどの影響力はありませんでした。結局、これらの政策は大きな争点になり得ず、逆にあまりにも知名度の高い「大阪都構想」というフレーズが、自然と争点として定まりました。
維新側は間違いなく「大阪都構想による堺市の廃止、分割」を争点にすることを嫌ってました。しかし、これまで自らが散々喧伝してきた政策がその知名度ゆえに争点に上ってしまったのは皮肉な結果と言えます。


このブログでも何度も述べていますが、「大阪都構想」は詳細が明らかになればなるほど、制度としての不備や矛盾が露呈して来ています。もはや政策的に破綻寸前であり、我々の「都構想批判」に対し維新側が論理的に反論できず、問題の抽象化や言い訳に終始したことは、勝敗を分ける大きな要因となりました。
大阪都構想」に関する議論は、今後ますます難しい対応を迫られることになると思いますが、大阪府民・市民の影響を第一に考えた制度としてのあり方(中止・撤回を含む)を模索することが、党派を超えて取り組まなければならない議員としての責務かと思います。関係各位の良識に期待したいと思います。


■開票結果について
堺市長選挙の開票結果は以下のとおりです。


平成25年9月29日執行 堺市長選挙(投票率:50.69%)

届出番号 候補者名 堺区 中区 東区 西区 南区 北区 美原区 合計
1 竹山 おさみ 37,454 26,657 22,276 32,388 31,678 39,103 8,875 198,431
2 西林 克敏 21,764 18,614 14,988 21,097 33,557 24,190 6,359 140,569
得票数計   59,218 45,271 37,264 53,485 65,235 63,293 15,234 339,000


各候補、各区の得票数については多いとも少ないとも思いません。こういう結果になったのか、というのが感想です。西林候補が地盤を持つ南区で勝ったのも当然の結果であると思います。
しかし全体として私が注目したいのは、維新が7月の参議院選投票率52.08%)から堺市内で4万票も得票を増やしたことです。また市長選挙と同時に行われた補欠選挙でも、獲得議席は自民2、維新1となったものの、党別得票数、得票率では、ともに維新がトップでした。


裏切り批判や復興予算に関する失言などによる「竹山不支持」の声は、私自身が選挙戦を通じて根強くあることを感じました。それらの誤解に対し私は、本ブログで丁寧に解説をしてきたつもりですが、世間全体に伝えるなどできるはずもなく「竹山不支持」の票が維新に流れたのは事実です。


また、主として共産党との相乗り批判による自民党票の流出も非常に大きいと感じています。相乗りについても本ブログで書いたことがありましたが、今後はより丁寧に、「反維新」の重要性を自民党の支援者の皆様に伝える必要性を感じました。


選挙戦の間、私は竹山支持の手応えを感じておりましたが、一方で依然として高い「橋下人気」に改めて驚かされました。タレント見たさ的にわざわざ演説を見に行く人も多数いましたし、常に世間話の話題にも上りました。
しかし、実際にそれが維新の得票に結びついたかどうかは数字からは読み取れません。今回、関心度の高さゆえに多くの有権者は橋下氏の一挙手一投足に注目をしました。私はその中で少なくない有権者の中に、橋下・維新型政治手法に対する「ふわっとした違和感」のようなものが生まれたと感じています。
「維新の会」が岐路に立たされているのは間違いありません。


このことについては視点を変えてまた改めてブログに書きたいと思います。


以上、堺市長選について思うままに書きました。長文、雑文ご容赦ください。