袋小路に入った都構想議論~第19回大都市制度(特別区設置)協議会 雑感(動議全文掲載)

昨日行われた、大阪市の廃止と特別区の設置について協議する「法定協議会」が紛糾し、各種メディアでも大きく報道されています。
私は事前に法定協の委員さんから「今回の会議が山場」と聞いていたので、傍聴に行っておりました。

「山場」というのは、「いわゆる都構想」の制度設計を行うための時間的余裕がないという作業工程的な意味と、成立のために協力が不可欠な立場にある公明党さんがどのような態度をとるのかという政局的な意味の両方があります。

 

会議は朝9時30分から大阪市役所で行われました。
会議の冒頭、いきなり公明党の委員さんが「動議」を出します。
内容は「今回の会議が、会長の独断で強引に開催されたことに強く抗議し、本日は散会する」ことを提案するものでした。(動議の全文を最後に追記しました)

 

動議の中では他に

  • 「制度の協議のために必要な、庁舎整備、職員体制、財政制度などに対する回答がない」
  • 「強引な会議の開催は期限ありきで、また我々は『議員の任期内』に協定書をまとめなければならないといった合意や約束はしていない」
  • 政令市を解体するという極めて重要なテーマには、慎重かつ丁寧な議論が必要である」
  • 特別区の設置には1500億円を超える莫大な財源が必要で、住民サービスの低下は明白である」
  • 「よって真摯な議論ができる法定協の正常化を強く求める」

と述べられています。
私は発言を聞いていて至極正論であると感じました。

 

しかし、今井豊会長(維新の会選出)は動議の採決を拒否し、一気に会議は紛糾します。採決を求める公明・自民と会議の続行を求める維新の間で押し問答が続き、約40分もの間、膠着状態が続きました。

 

発言が整理されず怒号も飛び交う中でよく聞き取れませんでしたが、公明党が動議の採決を強く求めたのは、以前の法定協(恐らく第11回のことと思われる)で動議の持ち帰りを提案した公明党に対し、維新側から「動議は緊急性があるものだからすぐに採決すべき」といったやり取りがあったことが根拠であると考えられます。
対して維新側は、特に松井知事が「協議をやるといって出席したんだから協議に応じろ」と繰り返し主張し、さらに自民党からは「出席しなかったらしなかったでボイコットしたと非難されるから、出席した上で正当な規則に則って動議を出しているのだ」という趣旨の発言があったかと思います。

 

この流れを会長は議事整理できず、松井知事が一言「もう散会にしたら?」ともらした瞬間、ほとんど自暴自棄のように、一方的に「散会」を宣告しました。

 

私は、この時点で会議は終了したものと判断してますが、散会宣告後も委員は誰も席を立たず、会議が成立しているのかしていないのかよくわからない時間が続きます。議事運営のルールなどない中、議論が深まるはずもなく、結局、いったん「休憩」ということになり、休憩再開後、会長から「動議は適格性を欠くため採決せず、会議は散会する」と、これまた一方的に散会が宣告され、全委員が会議場を立つことになりました。

以上が会議の流れです。

 

当初議論する予定だった制度については、具体的なことは何も決まりませんでしたが、維新と公明党の対立は決定的となり、議会の構成から、今後「いわゆる都構想」の制度案がまとまる可能性は極めて低くなりました。

 

会議はほとんどが怒鳴り合いに近いものでしたので、どちらが正しいかは、もう見た人の感じ方でしかないとしか言いようがありません。
私自身は会長の議事整理の仕方が悪かったと感じましたが、維新支持者の方からすれば、自公側が会議を潰したと見えているであろうことも理解しています。
もうすでに何度も経験してきた対立構図です。

 

「いわゆる都構想」に関しては、これまでかれこれ9年くらい議論が続けられてきました。
その中で制度としてはほとんど破綻しているのは明らかで、数字を調整したくらいでは、欠陥を克服することは不可能です。
もう「都構想」に関しては、政策的な観点からも、政局的な影響からも、建設的な議論は不可能だと、今回の法定協を傍聴して強く感じました。
万博等のビッグイベントが控える中で、まだこのような不毛な議論を続けなければならないことに、暗澹たる思いがします。

 

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第19回法定協 動議(全文)
●1月11日の法定協議会において、私たちから、「代表者会議で協議せず、会長の独断によって一方的に法定協開催が通知されるような異常事態は、二度となきよう求めた」にもかかわらず、今回も忠告を完全に無視して、強引な手法で法定協が開催されました。
よって、私たちは断固抗議し、会長には独断で強引な手法を改めて頂き、「法定協を正常化することを求め、本日は散会する」動議を提出します。

●私たちは、これまでの協議会で庁舎整備や職員体制、財政調整制度等、協定害の根幹にかかわる重要な項目に対して指摘してきました。
にもかかわらず、いまだに、まったく回答がない。要するに、大阪市を廃止して、特別区を設置するコストが、本当はいくらになるのか確認できない状況では、とうてい委員間協議に入ることはできません。

●先日来の強引な開催は、すべて、議員の任期内に協定書を取りまとめたい、との知事の一方的な主張から推し進められています。しかし、協定書を議員の任期内にまとめなければならいとは、どこにも規定されておりません。
また、私たちは、そのような公約を掲げて、議員になったわけでもありません。
法定協は、府市両議会で廃止を議決しない限り、4月以降も存続し、議論を継
続することが可能です。よって、議員の任期内に協定書をまとめなければならないという知事の発言には、全く根拠がありません。
さらに、我々は、議員の任期内に協定害をまとめる、といった、合意や約束をしたことは一度もありません。法定協の場で、断言しておきます。

●一番大事なことは、どこまでも府民・市民の立場に立って考え、府民・市民の皆様の理解が十分に得られるよう、慎重かつ丁寧な議論を進めていくことです。
それこそが、法定協の委員である、我々の使命であり責任です。

特別区設置をするか否かの議論は、日本で初めて政令市を解体するという極めて重要なテーマであり、どれだけ慎重に議論をしても、し過ぎることはありません。

特に、特別区設置には、1,500億円を超える莫大な財源が必要です。
その捻出には、平成の大合併のような合併特例債といった国からの支援も全くないため、そのほとんどを現在の大阪市の税収から捻出しなければなりません。
今、大阪市が行っている他市にはまねのできない極めて手厚いサービスである、「敬老パス」や、高校生までの「子ども医療費助成制度」などをすべて廃止しても全く財源は足りない。その結果、今後の市民生活に大きな影響を与え、住民サービスが低下することは明白です。
●したがって、特別区になれば、住民サービスがどうなるのかを明確にする法定協議会の開催、メリットもデメリットも真摯に議論ができる「法定協議会の正常化」を強く求め、本日は散会する動議を提出します。

●会長に於かれましては、速やかに採決をお願いします。
公明党 八重樫善幸委員)以上。