野村ともあき【非公式】ブログ|前堺市議会議員

野村ともあきの非公式ブログです。前堺市議会議員 公式ブログは→https://note.com/nomuratomoaki/

【2015版】大阪都構想のここがヤバいよワースト10

いよいよ統一地方選挙が目前に迫ってまいりました。
私が負託をいただいている堺市議会の議員も改選を迎えるわけですが、この選挙を前にどうしても書いておきたいことがあります。


“いわゆる大阪都構想”についてです。


最近気づいたのですが、「大阪都構想」というごくごく一般的なワードで検索すると、なんと2年近く前にこのブログで書いた「大阪都構想のここがヤバいよワースト10」というエントリが、かなり上位にランクしておりました。
確かに私のブログには「都構想」「わからない」とかいう検索ワードでよくアクセスがありますが、当該エントリは一昨年の堺市長選挙の時に書いたもので、当時と状況が変わったり、堺市に限定した内容だったり、必ずしも今の状況にマッチしたものではありません。


世間的に都構想への関心が高まる中、なんとなく「これはマズイなあ」という義務感というか責任感みないなものがありましたので、今回、ランキングを見直すとともに、初めて読む人にもできるだけわかりやすいように基礎的な情報も含めて2015バージョンを書くことにしました(^^)。


前回の内容と重複する部分もありますが、検索などで初めてこのページに飛んできた人にもわかるように、という配慮ですのでご容赦ください。


では、さっそくですが、「大阪都構想のここがヤバいよワースト10 Ver.2015」(略して「ここヤバ2015」)行ってみたいと思います。




……の前に、まずは前回の順位を簡単にまとめておきますね(^^;)。(詳しい内容は元エントリをご参照ください)


大阪都構想のここがヤバいよワースト10(2013年版)
第10位 実は「都」じゃない。
第9位 都構想推進の最大の理由だった「二重行政」が堺市にはない。
第8位 国の方針と全く真逆の制度変更である。
第7位 ロードマップに一貫性がない。
第6位 マニフェスト「堺八策」との整合性がない。
第5位 財政効果がほとんどなかった。
第4位 統合される大阪府と市の財政が深刻。
第3位 東京都制を手本にするという発想自体がそもそもおかしい。
第2位 堺市がなくなる。
第1位 元に戻せない。


はい。
さて、これが今回どのように変わったでしょうか(^^;)?

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お待たせしました。それでは本編に参りましょう。どうぞ!
(例によって、長ったらしい説明は(注)としてまとめましたので、面倒くさい方は読み飛ばして下さい)


第10位 国の方針と全く真逆の制度変更である。
前回8位の項目です。個人的にはヤバさ度合いは前回と変わらないと感じてますが、相対的にもっとヤバイ項目が出てきたので、順位が下がってしまいました。「しまいました」という表現もアレですが。

大阪都構想」というのは要するに政令市を無くして府へ仕事を移すものです。しかし国の大きな方針は道府県政令市へ仕事を任せていくというものです。全国の政令市ではそのために色々と連携して話合いや研究を行っていますし、国もその前提で政策を考えます。
つまり、大阪だけが変な方向に進むことになり、全国の政令市と歩調を合わせられないばかりか、国の制度、施策から取り残されることになります。


第9位 東京都制を手本にするという発想自体がそもそもおかしい。
前回3位からの大幅ランクダウン。
東京が経済的に発展しているのは「都と特別区」という枠組みのせいではありません。首都として経済拠点や行政機能が一極集中しているからです。
「都制」にすれば景気が良くなるという主張は、本気で言ってるなら政策センスを疑いますし、わかってて論理のすり替えをしているなら悪質です。

加えて、都区制度自体が不完全な制度であり、政令市を返上してまで選択するものではありません。このことは、当の東京都の区長さん、また全国自治体の首長さんの多くが指摘していることです。
【参照】WEBソースのないものは図書館などで調べて下さい。
指定都市市長と関係知事に対するアンケート(朝日新聞2010年12月15日)
東京の23特別区長に対するアンケート(毎日新聞大阪本社版2010年10月19
日)
政令市分割「不要」が大半(読売新聞/YOMIURI ONLINE2015年03月29日)
http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20150329-OYO1T50000.html


第8位 これここに至るまでの行政上の手続き、手順がかなりヤバイ。
ヤバ過ぎてとてもここに書ききれませんが、主なポイントだけ箇条書きします。詳細はググって下さい。過去に私もブログで書いてます。

  1. 都構想の設計図ができないからという理由で、突如、意味不明の出直し市長選を6億円かけて行った。
  2. 設計図を作る際、反対する議員をことごとく委員から外し、維新の委員だけで無理矢理完成させた。
  3. それに反発する維新以外の会派が求めた議会開催要求を、橋下、松井首長は無視した。
  4. 法定協の委員を見直すための議案を審議しないまま放置し、議会を強制流会させた(どう一言で書けばいいんだろ、こんなひどい話)
  5. 設計図はいったん議会で否決されたが、否決された設計図をほぼそのまま再提案し、衆院選後に態度を変えた公明党の協力で通した。
  6. 設計図を作るに至った法定協での議論を記した広報誌の発行を差し止めた。


第7位 財政効果がほとんどなかった。

もう散々言われていることですが、維新が当初言っていた4000億円という財政効果は、都構想の設計図を作る段階で1000億円弱に修正され、しかもその大部分は都構想と関係ない数字を盛りに盛ったものであることが報道や議会で明らかにされています。実質的な財政効果は1億円しかありませんでした。

ところで維新の堺市議会議員団は8000億の財源が生み出せるとか、さらに倍盛りしてたような記憶があるなあ……と思ったら、まだホームページに載せたままでした(^^;)。いくらなんでも修正すべきだと思いますけど。
http://www.sakai-ishin.com/policy.html
【魚拓】http://gyo.tc/S8SK


第6位 移行コストがむちゃくちゃかかりそう。
“いわゆる都構想”移行のためのコストは庁舎の建設やシステム更新などで680億円もかかると試算されています。つまり、1億円を捻り出すために680億円をかけようとしているのが都構想の現実です。

ちなみにこれは現時点で行政が直接支出するお金に限った話です。予見できない未知のコストや、間接的に生じる支出や損失、民間で負担するコストなどは含まれていません。


第5位 出てきた区割り案が最低最悪。
大阪都構想は出てきた当初から無理のある計画でした。良くも悪くも政策的センスはないけど実行力はある橋下氏が、理念も展望もないまま、無理な計画を無理に推し進めたため、設計図の作成過程では、場当たり的に増改築や応急処置を繰り返すような作業が積み重なり、最終的に示された「大阪都」の形は、当初のうたい文句とは大きくかけ離れた、歪(いびつ)で中途半端で異様な自治体の姿でした。

ニアイズベターをうたった特別区は、人口規模が当初計画の30万人から最大69万人に増大。しかも府下には政令市である堺市を抱えたままです。一方で議会議員は現在の大阪市会の議員数を元に機械的に各区に振り分けたため、34万人の湾岸区に12人の議員しかいない状況となりました。特別区になれば公選区長が互いに競うことで地域が発展すると言われてましたが、そのための政策を立案するための主要な財源となる特別区の税収は個人区民税、たばこ税、軽自動車税だけであり、経済振興による税源の涵養が見込める法人市民税や固定資産税などはすべて府に吸い上げられます。特別区間の税収格差は最大2.8倍に上りますが、それを補う財政調整の方法は決まっていません。ハード面においても区役所庁舎が不足し新設が必要で、発足時には職員の配置もままならないと言われています。


第4位 実は「都」じゃない。
前回10位の項目が4位にジャンプアップです。
世間的に「大阪都構想」や「都構想」という名称が定着してますが、大阪が「都」になるわけではありません。都構想の根拠となる法律である「特別区設置法」には“特別区を設置できるルール”が書かれているだけで、道府県の名称を「都」にする規定など一切ありません。現行の法令では「大阪府」は「大阪府」のままです。

なぜこのことが第4位になるほど重要なのでしょうか。
いわゆる大阪都構想は当初、大阪市堺市、そしてその周辺自治体をも巻き込んだ府市再編によって大きな財源を生み出し、それによって成長戦略を描くという壮大なものでした。しかしそれは現在、単に大阪市を廃止・分割するだけという意義も効果も全く不明なショボイ政策に成り果てました。
羊頭狗肉とも言える現状に対し、マスコミなどもこぞってこの詐欺めいた呼称を使い続けることは、あたかも大阪が東京のような都市として発展するかのようなイメージを有権者に植え付け扇動することに他ならず、強い懸念を感じます。
脱法ドラッグ」や「イスラム国」など、“名前”が与える印象は時として誤解を招き、当事者に大きな不利益となって降りかかります。

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さて、いよいよトップワースト3の発表ですが、その前に「圏外に消えたヤバイ」を紹介したいと思います。


○ロードマップに一貫性がない(前回7位)
「ロードマップ」とかそんな表現できないくらいに、もうガタガタです。全く未来が見えません。大阪都以降どうするとか、もう完全に議論から消え去りました。とにかくやったらええねん。後は野となれ山となれ、と言った様相です。


○「堺八策」との整合性がない(前回6位)
もっとどうでもいいですね。ていうか覚えてる人いるんでしょうか? 私は一策も覚えてないです。

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ちなみにここまで書くのに7時間くらいかかってます。あまりのヤバさに、書いていて本当に頭がフラフラしてきました。なんとか正気を保ちながら、残りのワースト3も紹介したいと思います。


第3位 二重行政から三重行政へ。
展望も理念もなく、ただ大阪市を切り刻んだ結果、広域と基礎の事務配分を曖昧にし、府と特別区に配分できず宙に浮いた事務事業は、一部事務組合という制度に押し込められることになりました。結果、予算規模6400億円というとてつもなく巨大な一部事務組合が生まれ、「府>一部事務組合>特別区」という、いわば三重行政が生じることになりました。

異常に巨大な一部事務組合の誕生で、国民健康保険や水道事業など、市民生活に直結する事業事務が、複雑化するばかりでなく役割分担も責任の所在もあやふやとなるなど、「新たな大阪府」は極めて非効率で不安定な行政組織となっています。このまま実現すれば、府民、市民生活に重大な悪影響を及ぼすことは確実です。


第2位 元に戻せない。
なんと! 前回1位の「元に戻せない」が2位です。
大阪都構想の最大の弊害は「政令指定都市に戻すことがほぼ不可能」である点です。
大阪都構想には様々な制度的な不備、矛盾、限界、効率の悪さがあることは既にお示ししてきましたが、一度やってしまうと後からダメだとわかっても元に戻すことができません。市制125年の歴史を持つ、日本を代表する旧五大市のひとつである大阪市は地図上から消え、二度と戻ることはありません。

前回好評だった「特別区を再び大阪市に戻す方法」(改訂版)

  1. 府下5つすべての特別区が合併する案を、すべての区議会で議決、承認。
  2. 府知事に合併案を申請し、府議会で議決。
  3. 総務大臣へ届け出ることで、とりあえず「260万人の特別区」が実現
  4. ここで問題発生。地方自治法の規程では、「市」となれるのは「普通地方公共団体」と定義されているので、「特別地方公共団体」である特別区は「市」になれません。制約なく移行できる普通地方公共団体はなんと「村」だけのようです。というわけで、
    1. まず「特別区」を廃止
    2. 廃止した「区」と同一の区域の(人口260万人の)「村」を設置
    3. 「村」で「市制施行」を行い「市」に。
  5. そこから政令指定都市移行手続きとして
    1. 市議会での政令市移行に関する議決
    2. 府知事へ要望
    3. 府議会の議決
    4. 総務大臣へ要望
    5. 閣議決定
    6. 政令の公布
  6. めでたく政令指定都市移行


笑うしかありませんね(^^;)


第1位 特別区隣接自治体は住民投票なく特別区になれる。
すでに設置された特別区に隣接する自治体は、分割をしない場合、住民投票なしで特別区になれます。「なれます。」とか言われても困りますが、「特別区設置法」にそう定められています(第13条の2項)。
これが今、私が最もヤバイと感じていることです。
はっきり申し上げてこれは「大都市地域における特別区の設置に関する法律」の欠陥です。この点については、今後、自民党の国会議員を通じて法改正を求めて行かなければならないと感じています。


この条件には堺市も当てはまります。つまり、堺市においては市(首長)の決定と議会の承認だけで、政令市の廃止が決まってしまう可能性があるのです。
もちろん、現・竹山修身堺市長は、一昨年前「都構想」反対を掲げて市長選に勝ちました。しかし、将来の堺市長選の結果は誰にもわかりません。
かつて、橋下徹大阪市長が極めて身勝手な理由で、無意味な「出直し市長選挙」を強行したことを我々は忘れてはいけません。


もし、時の堺市長堺市の廃止、特別区への移行を決めたなら、それを阻止する方法は堺市議会で否決するしかないのです。
その時、堺市議会の会派構成が極めて重大な意味を持つことを、どうかすべての堺市民の皆さんに知っていただきたいと思います。
堺市において、今ほど議会の良識、市民の力が試されている時はありません。



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さて、いかがだったでしょうか?
正直、ここに紹介した項目のどれが一位でもおかしくないくらいのヤバさです。
大阪都構想の当初の理念、理想、計画は、確かに一部評価できる面もありました。
しかしながら、現在の「新・大阪府=いわゆる大阪都」からは、それまで喧伝されてきた夢の様な都市の輝きは完全に失われ、何をどう判断しても実現しようと思える自治体の姿ではありません。


今回、大阪府下の一人でも多くの住民と、そしてなかなか情報の届きにくい中央(東京)の政治、行政の関係者にも、出来る限りわかりやすく大阪の現状をお伝えしたいという思いで、このエントリを綴りました。大変な長文となりましたが、最後までお読みいただいた皆様に感謝申し上げますとともに、周りの一人でも多くの方にこのブログの内容をお伝え願いたいと存じます。


さて、いよいよ「堺を守り、大阪を取り戻す戦い」が始まります。
私も必勝を期して戦い抜きたいと思いますので、引き続きのご支持、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

「地方創生」の時代に、堺市に求められるもの

今年の年頭に、街頭配布限定で出したチラシの記事が読みたいというお声を複数ちょうだいしましたので、ウェブに再掲します。チラシの現物は配りきったのでもうありません。すみません。

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【特別寄稿】「地方創生」の時代に、堺市に求められるもの


安倍政権による2年間の政策によって、今、日本経済は力強く回復の歩みを進めています。株価、賃金、雇用など様々な経済指標からもその流れは確かなものになろうとしています。しかし一方で、アベノミクスに対する批判が存在するのも事実です。それらは「アベノミクスは大企業だけのもの」「個人には景気回復の実感がない」と言った内容ですが、大企業から中小企業、そして個人へと景気回復の波が及ぶのには、ある程度の時間がかかるのはやむを得ません。統計上の経済と実態経済に時間的乖離が生じるのは当然のことで、アベノミクスの恩恵を最初に受けたグローバルな大企業の利益が国内に循環するまでには、賃上げや人々の心理面などを考慮しても少なくとも1年以上の時間がかかります。もちろん、その回復のスピードをより一層早めるための対策は重要です。


■日本の産業モデルが通用しなくなった
戦後、日本を支えてきた製造業の産業構造は、21世紀に入り、特に世界市場において大きく様変わりしました。いわゆる垂直統合型からグローバルな水平連携モデルへの変化です。米アップルのような製造部門を切り離すことで大きな利益を生む欧米企業が躍進する一方、日本国内の企業は「大企業を支える中小企業」という関係を守ろうとしたため、国際競争の舞台で苦しむことになりました。それが高度成長以後における日本企業低迷の要因です。しかし近年、一部の日本企業は垂直統合でしか成し得ない特化した技術による製品の開発に活路を見出そうとしました。そしてそれはようやく実を結ぼうとしています。
アベノミクス「第3の矢」は、まさしくこの日本が最も強みを発揮できる「誰にも真似できない独自の技術革新=イノベーション」を後押しするための戦略なのです。


■地方こそ日本経済を支える重要な柱
しかし一方で、グローバルな大企業がもたらす経済効果は地方に根ざしたローカルな産業には直接波及しないという点には注意が必要です。ローカルな産業とは、その地域に密着しなければ事業が行えない対人型のサービス業や福祉事業、公共交通などのことです。グローバルな企業が国際舞台で戦うための戦略と、地域に根ざした産業の振興とでは全く別のアプローチが求められます。


統計によれば、グローバルな大企業が日本国内にもたらすGDPや雇用は実は30%程度に過ぎず、他方ローカルなビジネスのそれは60%〜70%に達するということです。地方の再生を模索するとき、この視点は極めて重要といえるでしょう。国内、特に地方においては、ローカルなビジネスの成長戦略こそが重要なウェイトを占めているのです。
この点においてもアベノミクス第3の矢は、新たな産業の創出を図るとともに既存産業を成長産業化することで、その地域の女性、若者、高齢者の雇用を促進し「地方創生」へとつなげることを志向しています。
グローバルな戦略と「地方創生」は背反するものではなく、平行して進められるべきものです。日本全体をけん引しながら底上げする。それらが融合し両輪となって大きな推進力を発揮した時こそが、真の日本経済の復活となるでしょう。


■「地方創生」戦略と堺市の進むべき道
さて、この方向性は堺市の将来にとっても大変重要です。
堺市にはグローバルな大企業はほとんどありません。まさしく地元に根差した産業が地域経済を支えています。アベノミクス第3の矢が堺市に届いたとき、新たな産業の担い手になる人材を惹きつけ、市内に人口を誘導することは重要な戦略です。そのために必要なことは何でしょう。それは堺市が魅力ある都市となることです。
魅力の要素は様々です。イメージが良いだけではなく、交通の利便性や良好な住環境、余暇の過ごし方、治安、教育、子育て、医療、介護や福祉の充実なども都市の魅力として挙げられるでしょう。


私はこの考え方が、新たな時代を迎えようとしている堺市における都市経営戦略の最も重要な柱であるとの認識に立ち、これまで堺市に「人を集めるための取り組み」を要望してきました。議会での質問もこのテーマがすべてに通底しています。良好な環境が人を集め、産業が振興し、まちが成長するのです。


堺市東区は良好な住環境としての整備を。
では、私たちの住む東区はどのような位置づけになるでしょうか。
東区にはこれといった産業はありません。しかし、堺市の7つの区の中で最も優れた(少なくとも私はそう考えています)住環境があります。のどかな農村地帯も、閑静な住宅街も、市街地に近接した形で存在する稀有な立地を誇っています。堺市の中でこの地域が担うべきは「豊かな住空間」であることは間違いありません。
東区で生まれ育った私は、これまで40年間、地域のうつり変わりを見続けてきました。冒頭述べたように、世界の変化は激しいですが、私はこの愛すべきふるさとを未来の子どもたちに伝えて行きたいと心の底から願っています。
その一端を担うことのできる堺市議会議員という職をいただいたことに感謝をしています。


以上。


参考文献:「なぜローカル経済から日本は甦るのか GとLの経済成長戦略」(冨山和彦 著/PHP新書)

平成27年堺市議会第一回定例会大綱質疑

本日は平成27年堺市議会第1回定例会において3日間に渡る大綱質疑(代表質問)が終了しました。議会日程はこの後、各常任委員会、そして予算を審議する特別委員会と続きます。

今定例会は4年間の市議会議員の任期の最後の議会です。私も今任期最後の質問を自民党会派を代表して行わせていただきました。

内容は、今定例会に上程された「堺市ものづくり投資促進条例」、自転車まちづくりについて、大都市行政についての三項目でした。

堺市ものづくり投資促進条例」は、堺市内への企業誘致を促進するための税制優遇などを規定した条例案です。私の持論として産業の振興には政策の後押しが不可欠です。優秀な企業、頑張ってる企業はたくさんありますが、そういった会社が円滑に業務を行うための政策は、社会の様々な側面から大きな意義があります。一部で、民間の企業活動に行政が肩入れすることを批判する方がおられますが、そういった方は、会社を経営者の金儲けのための組織と見ているのでしょう。もちろん、いわゆるブラック企業や自社のことしか考えていない企業も存在します。しかし個人においても、善良な人も極悪な人も存在するように、法や政策は優れた企業のためのものでなくてはなりません。現代社会において企業は社会の公器です。企業の活動がなければ、社会の発展も、豊かさもありません。
翻って堺市は、古くは古墳築造の時代から鉄砲、包丁など「ものづくり」の町です。
今、ものづくり=リアル(電子的でないという意味)の製造業は、新たな時代を迎えています。ICT技術の社会への定着、偏在化によって、ものづくりのあり方は大きな革新の時代を迎えています。
堺市における産業振興施策の中心を「ものづくり」においた本条例は、来るべき将来において大変意義があると感じています。

「自転車まちづくり」については、主に堺市の「コミュニティサイクル」事業について、私もコミュニティサイクルのヘビーユーザーですので、利用者の視点から、具体的な改善案を様々に提案させていただきました。

そして最後は「大都市行政」について。要するにいわゆる「都構想」についてです。思えばこの4年間、大都市行政について本当に多くの議論を重ねて参りました。「都構想」の具体的な問題点については近日中に稿を改めてアップする予定ですが、現状、堺市にとってこの「都構想=政令市の廃止・特別区の設置」は最も危惧すべき状況を迎えています。
1点だけ申し上げるなら、5月に予定されている大阪市内の住民投票大阪市の廃止分割特別区の設置が可決されてしまうと、堺市が1つの特別区になる場合に限り、堺市においては住民投票が必要ないのです。つまり首長の判断と議会の承認だけで、堺市の廃止が決定してしまいます。
このことは大変に重大な事実であるにもかかわらず、堺市民にほとんど知られていません。
今後、統一地方選挙を控え、私はこのことを徹底的に訴えて参りたいと思います。
堺市がなくなる危機は、一年半前の堺市長選挙の時よりも高まっています。

今議会で訴えたことを、今度は市民さん向けに広くお知らせしていく予定です。

堺市立東文化会館について

統一地方選挙を前にして様々な議論が熱を帯びてきています。立場の違う多様な意見が交わされることは、議論の質も高めますし、また市民(有権者)さんが投票する際の判断材料の幅を広げることにもなりますので、心から歓迎したいところです。


ただし、それは事実に基づいた建設的な政策論議であれば、の話です。


今般、私の地元で大阪維新の会の議員が出したチラシにおいて、「東区の自民党議員」と特定した上で、いわれのない批判がなされております。内容的にはかなり扇動的な印象で、読まれた方から誤解されては私としても心外なので、少し本ブログで事実関係を整理しておきたいと思います。


大変ローカルな話題で恐縮なのですが、当該の維新議員のやってることや主張には看過できない点、疑問に感じる点があり、堺市議会全体の信頼にも大きく関わってくることですので、広く開かれたブログで書かせていただくことをご容赦願いたいと思います。

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問題とされているのは、堺市東区にある「堺市立東文化会館」の指定管理の公募選定結果についてです。


東文化会館は、指定管理が平成27年4月で更新を迎えるにあたり、昨年(平成26年)に公募・選定が行われました。選定の結果、「公益財団法人堺市文化振興財団」が業務を請け負うこととなりました。
「指定管理者の指定」は議会の議決事項ですので、本件は12月議会に上程され、その結果、公明、維新、そして自民党会派の一人が反対しましたが、私を含めた賛成27名で可決されました。


本議案を巡っては議決前から様々な動きがありました。採決にあたって私も賛否の判断を迫られましたので、出来る限り情報を集め、努めて客観的に「事の正否」を見極めるようにしました。


以下に、私が「賛成」に至った経緯を記します。


堺市立東文化会館」は南海高野線野田駅前にある、座席数400席のメインホールを中心に各種展示、集会機能を備えた東区唯一のコンベンション施設です。平成17年に生涯学習施設、平成19年に文化ホール棟が開業しました。
指定管理者制度が採られており、指定管理者が行う主な業務として、(1)施設の運営に関する業務、(2)文化芸術振興事業に関する業務、(3)施設等の維持管理に関する業務、(4)その他の業務、が定められています。
指定期間は概ね5年間。次の指定期間は平成27年4月1日〜平成32年3月31日までの5年間となっています。
指定管理料は年間約1億3千万円です。


指定管理については、まず、平成26年6月25日、堺市文化観光局指定管理者候補者選定委員会(以下、選定委員会)が開催され、ここで公募要件や応募の期間などが審議されました。選定委員会の委員は弁護士、公認会計士、大学教授2名ら外部の有識者と市の総務局の職員1名の計5名です。

※ちなみに選定委員会の議事録はすべて公開されています。平成26年6月25日の議事録を以下にリンクしておきます。
http://www.city.sakai.lg.jp/shisei/gyosei/shiteikanrisha/shiteikanrikaigiroku/sennteiiinnkaikaigiroku.files/higashi-bosyuyoko.pdf


公募は事前の質問や現地説明を経て8月18日〜9月1日に行われ、5者の応募がありました。公開情報ですので全ての応募団体を挙げておきます。
(1)さかいヒルフロントフォーラム&近鉄ビルサービス
(2)公益財団法人堺市文化振興財団
(3)株式会社大阪共立
(4)株式会社アステム
(5)JTB南海グループ


審査は書類審査を経て10月に面接が行われ、(2)公益財団法人堺市文化振興財団が指定管理者に選定されました。
東文化会館の指定管理業務はこれまで(1)さかいヒルフロントフォーラム&近鉄ビルサービス(代表団体は地元のNPOである「特定非営利活動法人さかいhill-front forum」)が担ってきましたが、他の4団体とともに選外となりました。


12月19日、堺市議会第4回定例会最終本会議において本件は上程、可決され、指定管理者が確定しました。
採決では、先述の通り公明、維新と、自民党の一名が反対しました。


さて、維新議員のチラシや街頭での主張では、私が賛成に回って前の指定管理者を潰そうとしたかのようなミスリードを誘い、堺市議会全体を指して「巨大な既得権と化している」というよくわからない主張を展開しておられます。自身が所属する議会を指して、しかも副議長を出している会派(維新)が何をか言わんやという感じですが、逐一反論するのは、本エントリの本旨ではないので控えておきます。
以下、客観的な事実関係のみを示しておきますので、「正否」の判断は読まれた方にお任せするに留めたいと思います。

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まず、本議案は否決されたとしても、指定管理が元の事業者である「さかいhill-front forum」になるわけではありませんでした。仮に否決された場合は堺市が直営することになっていました。
また採決は、東文化会館の他に栂文化会館(南区)、美原文化会館(美原区)の三施設について一括して行われました。
つまり、議案を否決すると、4月からいきなり三施設を市が直営することになり、職員も備品も市からの持ち出しとなり、それこそ行政の肥大化につながるばかりか、利用者である市民への影響が大きすぎる、そういう状況だったのです。


繰り返しますが、議会議案として上程された時点では、東文化会館の指定管理が「さかいhill-front forum」に戻る可能性はすでになかったのです。


「それでも選定結果を承認できない!」と言い張るほどの疑義は選定の過程にはありませんでした。
先述の通り、選定委員会は外部の有識者らで構成され、議事録も残っています。これを不正だと断じるには相当な理由が必要であり、“外郭団体批判”だけではとても反対する理由にはなり得ませんでした。私はむしろ、反対に回った公明党や維新会派の行動に違和感を感じた次第です。


仄聞するところによると当該の維新議員が「堺市立東文化会館の運営を再度NPO法人さかいhill-front forum」に求める署名」なるものを持って地域を回っているとのことです。
東文化会館の指定管理料は年間約1億3千万円、管理期間である5年間で6億円以上という巨額なものです。これほど多額の税金が支払われている施設の運営を、特定の一法人に任せるための署名を議員が持って回るなどというのは、「指定管理制度」を規定した地方自治法の趣旨に反することを薦める行為であるばかりか、公正、公平の観点から問題があると言わざるを得ません。


一般論として申しますが、もし、議員の立場にある者が、公正に行われた指定管理者の選定結果に対し直接の利害関係にある者の意向を組んで働きかけを行ったり、市民に署名をお願いするなどという行為があるとすれば、それは堺市の公募・入札制度への信頼を揺るがす重大な背任行為であり、場合によっては不正取引や利益供与にもつながる疑いが生じます。


議会・議員は地方自治体における二元代表制という意思決定の仕組みにおいて、行政の決定に対し「是か非か」という二者択一的な意思表示しかできません。しかし、その決定の過程は複雑多岐にわたる要素が絡み合う上、決定の場である議会は一般的には馴染みの薄い存在です。議員には、議会において「事の正否」をしっかりと見定める高い専門性と、一般市民に対しわかりやすく真実を伝える真摯な態度が求められます。


議会が遠い存在であることによって生じる「情報の非対称性」に付け入ることで市民の「誤謬」を誘うようなやり方は、政治家としては不誠実ですし、ましてやそれを他議員を貶める材料に歪曲したり、自分自身や特定の利害関係者の権益を隠匿するために利用するなどという行為があるならば、大変遺憾な事態です。

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以上、本稿の指摘は、すべて客観的な事実に基づく中立な立場に立ったものです。


私は、東文化会館の前・指定管理者が取り組んでこられた様々な地域活動や文化事業を否定するわけではありません。私自身、館で行われた多くの展示や催しに足を運びましたが、どれも素晴らしい取り組みでありました。そのことは、(なかなか管理者にお会いできないので)インターネット上からで甚だ失礼とは存じますが、心から敬意を表したいと思います。


また、次の5年間を担当する堺市文化振興財団におかれましては、前・指定管理者の活動実績に劣らない会館運営を行っていただけることを、地元住民のひとりとして切に期待したいと思います。

近況報告

今年に入ってはや2月になりました、と書こうと思っていたらもう建国記念日になってしまいました(^_^;)。ものすごい早さで日が過ぎていきます。なかなかブログが更新できずすみません。

さて先日(2/8)に、後援会の新事務所を開設させていただきました。議員は選挙が近づくと事務所を移転、新設するのが通例ですが、私は前回選挙の4年前は2月20日に事務所を新設しましたので、今回はだいぶ早い感じです。理由はいくつかありますが、私は割りと縁起をかつぐ方なので、2月の日曜日にあまり良い日がなかったこと。早く事務所を開けて地元の方に集まってもらおうと思ったこと。事務所開きのピーク時だと来賓にお招きする方の負担になること。他の議員さんたちは3月1日や7日(ともに大安。皆さんやっぱり縁起を担ぎますね(^^;)がピークなのですが、私は7日に党本部で党大会・青年局大会があり、そちらに出席しないと行けないこと。などなど考慮してこの日にいたしました。


当日は生憎の雨模様でしたが、皆さんへのご挨拶は室内で行いましたところ、寒さもしのげ、ゆっくりとご来賓の皆様のご挨拶を聞くことができましたので、かえって良かったくらいでした。


ご来賓からは竹山修身堺市長、おとなりの美原区選出の大阪府連会長である竹本直一衆議院議員北川イッセイ国土交通副大臣柳本卓治参議院議員、岡下昌平衆議院議員堺市議団を代表して西村昭三堺市議会議員に激励のご挨拶をいただきました。また多数の堺市選出の地方議員の先生方や候補予定者の皆さんにご出席いただきました。本当にありがとうございました。


ご来場いただいた皆さんも、お帰りの際、「いい話がたくさん聞けた」と喜んでおられたので、ミニ講演会(弁士はすごく豪華ですが)のような感じの催しになり大変良かったと感じています。


お越しいただいたすべての方、また当日、朝早くから準備や運営をお手伝いいただいた皆様に心より感謝申し上げます。
これから後2ヶ月間しっかりとがんばって、結果を出すことで恩返ししたいと思います。


引き続きのご支援、何卒よろしくお願いします。

野村ともあき年頭所感

平成27年の年頭にあたりご挨拶申し上げます。
昨年は年末に衆議院選挙があり、自由民主党の多くの国会議員が当選をさせていただきました。皆様のご支援に心より感謝申し上げます。地域の発展のためには国、都道府県、市町村が同じ方向性の下、一貫した政策を互いに協力しつつ推進することが必要です。今後は国と強固に連携を図りながら堺市政の発展につなげてまいりたいと思います。


また、本年は4月に統一地方選挙があります。4年前、皆様の絶大なるご支援のもと4,172票をいただき初当選をさせていただいてから、そのご期待に応えるべく全力で地域のために取り組んでまいりました。思えば当時、自民党は解党的な危機にあり、大逆風の中の大変厳しい選挙でありました。多くの仲間が逃げ出すように他党に去り、各地の選挙では連戦連敗、街頭では厳しい言葉を投げかけられる、そんな状況でした。そのようなどん底の状況から、残った仲間たちと地道な努力を重ね、真摯に政治に向き合うことで、今日まで信頼回復に努めてまいりました。
一期目の議員として壁にぶつかり悩むこともありましたが、一方で政策や要望が実現した時の「人々の役に立った」という喜びはかけがえのない経験ともなりました。


政治は現実の社会を創る営みです。壊すことは創ることより簡単です。現状を破壊することで人々の不満を逸らすような方法は政治として不誠実ですし、ましてや出来もしないことを花火のように打ち上げ人々の目をくらますようなことは、もはや政治ではありません。


私は堺市の東区で生まれ東区で育ちました。そしてこれからも地元で暮らしていく人間です。堺の町が大好きですし、大阪の歴史や伝統、文化を誇りに思っています。
これからも誇りに思えるまちを創っていきたい。そういう思いでこれからも全力で活動してまいる所存です。
本年も変わらぬご厚誼、またご指導のほどよろしくお願い申し上げます。


今年一年が皆様方にとりまして充実の年となりますことを心よりお祈り申し上げます。

第47回衆議院議員総選挙を終えて

第47回衆議院議員総選挙は、与党である自民党公明党が326議席を獲得し圧勝しました。大阪においても小選挙区に立候補した自民党の候補者全員が比例復活も含めて当選することができました。投票いただいた皆様方の力強いご支援に感謝申し上げます。


前々回、民主党政権交代があった2009年(平成21年)の総選挙で大阪のほとんどの議席を失った時、また維新の大旋風があった前回からすれば、選挙に携わってきた者として万感の思いですが、ここはゴールではなくスタートですので、これからは国民の皆様からお受けした信にしっかりと応えていかなくてはなりません。
我々、地方議員も国会議員と連携しながら、地域に密着した政治を進めるべく取り組むことことが重要であると、思いを新たにしております。


来年4月にはいよいよ統一地方選挙も控えております。
今後とも自由民主党に引き続きのご支持、ご支援、またご鞭撻をたまわりますようお願い申し上げます。