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大阪都構想をゼロから理解する~その1

本日9月3日、大阪市会においていわゆる大阪都構想の設計図となる「協定書」が可決され、11月1日前後を目途に住民投票が行われることが確実となりました。

投票日まで2か月を切っているわけですが、私が大阪市内でよく聞くのは「エエっちゅう話も、アカンていう話もあって、ようわかれへん」という声です。
また市外の方から「よく知らないけど、どういうこと?」というお話もしょっちゅういただきます。

大阪都構想は、「大阪市を廃止し特別区を設置する」という、市民生活に直結する「前例のない制度の大変更」ですから、すべての方が内容をしっかり理解した上で、投票することが大切です。
また大阪市という大きな都市を無くしてしまうというのは、日本全体にとっても重大な影響を及ぼすことが予想されますので、ぜひ大阪市外の方にも内容を知っていただきたいと思います。

というわけで今回からシリーズで、都構想をゼロから理解するための「基本のき」「イロハのイ」のような内容を、できるだけわかりやすく書くことにしました。

ぜひお読みいただき、よろしければ周りの方々にもおすすめしていただきたいと思います。

ところで、本文と画像は、意味を改変しない限り、どなたでも自由に利用、配布していただいてかまいません。

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■今の「○○区」と、都構想でできる「▲▲区」はまったく別モノ
現在の大阪市には24の区があり、それが都構想では4つの特別区になります。
24区→4区ということで、なんとなくすっきりスリムな町になるような印象をお持ちの方はいらっしゃいませんか? 実はそのイメージは根本的に間違っています。

これまでの24区は、大阪市の一部としての区域です。谷町と本町みたいに、地域の違いと考えていただいてかまいません。

ところが新しくできる特別区は、完全に独立した別々の組織になります。新しい淀川区天王寺区は、豊中市吹田市のような関係で、まったく別の市町村のような存在になります。それぞれに選挙で選ばれた区長さんがいて、町として独立した運営がなされます。

つまり、24区→4区に「統合」されるのではなく、ひとつの大阪市が4つの特別区に「バラバラ」になるというのが正しいイメージです。

また“特別区”という名前から、なんとなくスペシャルな街に格上げされるよう印象がありますが、これも誤りです。

都道府県や市町村には「やれること」が決められています。例えば「大阪府警」「兵庫県警」というように、警察は都道府県しか持てません。小学校は原則、市町村の管理です。その他、道路の管理や福祉の仕事まで、市町村にはそれぞれ「やれること」とその予算である「お金」が割り振られています。
その中で「特別区」は東京都にしかない仕組みで、国→都道府県→市町村の関係でいうと、なんと「村」以下の扱いなのです。

もっと細かくいうと、大阪市は市町村のなかでも最高の「政令市」という市ですが、特別区になると村以下の扱いになってしまうのです。
特別区になってしまうとお金は都道府県に持っていかれるし、これまで大阪市でできていたことも自由にすることができなくなります。

特別区」は「良い方に特別」なのではなく「悪い方に特別扱い」されるのだ、ということを知っていただきたいと思います。

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特別区に変わるには、ものすごくお金がいる。
新しい特別区は、独立した市町村と同じで別々の組織であると言いました。独立した組織ということは、あまり人やモノの貸し借りがしにくいということです。つまり自前でなんでも用意しないといけなくなります。

例を挙げると、小中学校を運営するための教育委員会や、住民の代表として行政をチェックする議会、色んな仕事をサポートする総務的な部署、区長部局、選挙管理委員会などは、これまで大阪市で一つあればよかったのが、4つ必要になります。もちろんそこで働く人も、その人たちが使う机もパソコンも四揃え必要になります。今までだったら1台で共有できていたコピー機が4台必要になるイメージです。それらを置く物理的なスペースも増えます。

これらのコストは公式の試算でも年30億円、大阪市自民党会派の独自試算では年200億円にのぼるとされています。
さらにシステムの更新や様々な組織変更、地名などの表示の変更に最低240億円が必要です。

言うまでもありませんが、これらの費用は大阪市のままなら必要ありません。
前項で言いましたが、何千億円もの税金を使って、町として格下げされ、やれることは限られてしまうのに、それを上回るメリットって何なんでしょう?
(このことはこれまで議会や法定協議会で何度も質問されていますが、都構想賛成派の明確な答えはありません。つまりメリットは「ない」のです)

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■むちゃくちゃ過ぎる新しい区役所の仕組み
前項で、特別区になるためにはものすごくお金がかかると言いましたが、実はさらに隠されたコストがあります。

今回の協定書(説明書)がズルいのが、前回はコストに含まれていた区役所の建て替え費用を省いてしまったことです。
ひとつの大阪市を4つの自治体に分けるのですから、当然、大きな市役所のような建物が4つ必要になります。その費用は300億円以上かかるとされていました。
しかし目先のコストをごまかすために、とりあえず区役所の建て替えはしないことにし、足りないスペースは中之島の今の市役所とそれぞれの24区の区役所で補うことになっています。

ん? おかしいと思いませんか?
別々の組織になったはずの4つの区の職員が旧市役所に集まって仕事をし、場所が足りないから24区の区役所でも仕事をするのです。
大阪人なら「ほな今のままでええやんっ!」と突っ込みたくなります。

住民の側にしても、どこでなんの業務がされているのかわからず、混乱が予想されます。例えば新・中央区などでは、旧・住吉区役所と、新中央区役所と、中之島の旧市役所と、その他の新区内の旧区役所と、ATC庁舎でたらい回しに合うということも現実的に起きうるのです。コントのネタが一本できそうな話ですね。
住民サービスは維持するどころか確実に低下すると思われます。

それだけではありません。
災害が起きた時、現24区の区役所は災害対策の地域拠点となっていますが、ほとんどの区役所で職員が少なくなるため、発災時の現地状況の把握、初動対応、避難所の開設、地域での給水給電や復旧復興作業、各種事務業務などで深刻な機能低下が心配されます。

特に新淀川区は淀川をはじめ河川が多く、災害によって移動手段がマヒする恐れがあります(現実に大阪北部地震でありました)。しかも、この新淀川区役所は、平時から900人の職員が中之島で仕事をする計画になっているのです。
こんな異常で恐ろしい職員体制はないと感じます。

こんなむちゃくちゃ過ぎる区役所の仕組みを作るのに、241億円と毎年30億円をつかうと言うのです。どれだけおかしい話かおわかりいただけるでしょうか???

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■まだまだ続きますが、いったんここでひと区切り。
以上のように、わずか3つの項目でもあまりにむちゃくちゃ過ぎてすごい長文になってしまいました。
その他の問題もまだまだいっぱいありますので、引き続き、できるだけわかりやすくお伝えしていきたいと思います。

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