野村ともあき【非公式】ブログ|前堺市議会議員

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第46回衆議院選挙雑感(その2 政権公約と政策について)

安倍総裁が憲法改正にしのぎを削る背景には、憲法改正自民党の党是であることもありますが、日米関係の再構築と表裏一体である米国の極東軍事戦略の見直しの影響、さらにそれに絡んだ中韓露との領土問題の緊迫化が折り重なっています。


憲法改正を含め、様々な政策は一面的に作られるものではありません。政治的に解決しなければならない課題には、複数の要因が複雑に絡み合っていることが多々あります。


今回の選挙において与党第一党になる可能性が高かった我々自民党は、掲げる政策に極めて重大な責任を負いました。
例えば今回の選挙では「原発」が大きな争点となりましたし、選挙が終わった今も我が党への歪曲された“原発推進”批判はやみません。
誤解を恐れず言いますが、私個人は「原発反対」です。ですので、反対派の方が掲げる危険性、原発労働従事者の健康被害、事故処理や最終処分、廃炉などの見えないコストなどの問題点はよく理解しております。原発をやめられるなら直ちにやめた方がいいと考えています。


しかし政策として、「ただちに原発ゼロ」や「十数年で原発廃止」などと何の政策的道筋や代替案もなくただ言うだけでは、それはポピュリズムであり、前回の選挙で民主党が掲げた実現不可能な公約と変わりません。「原発は怖い。だからやめよう」というのは国民の多くの感情であることは認識しておりますが、それに迎合して政策的な意思決定を行えば、結果的に社会が混乱するのは、先の民主党の例を挙げるまでもないでしょう。


現在、原子力代替エネルギーは事実上火力しかありません。そして、火力発電を行うためには天然資源の輸入が必要です。国内のエネルギーを火力に傾注してしまうと、資源輸入による貿易収支への比重が高くなり、数年前の原油高騰のようなことがあった場合、国内経済が壊滅する恐れがあります。外交的には、中国等の日本のシーレーンに進出させるインセンティブを高めることになったり、資源産出国との力関係にも影響を与えるでしょう。また軍事的にも核技術を保有しておくことは抑止力や北朝鮮の監視上、重要ですし、日米の安全保障上も手放すことは考えられません。
脱原発への道筋として「新たな海洋天然資源」や「環境分野でのイノベーション」などが挙げられたりしますが、これは原発問題をエネルギー政策から一面的に論じているに過ぎません。
さらに間接的には歴史的に反原発勢力が反体制勢力(極左組織)と結びついており、市民を巻き込むことでより一層問題を複雑化させているという事実もあります。


原発問題ひとつとっても、これらの要因を総合的、複合的に捉え、緻密に解決方法を考えることが求められます。「原発怖い」→「だからやめよう」という短絡な主張は、「原発ポピュリズム」以外のなにものでもない極めて無責任な政治姿勢であると言えます。


誤りのないようお伝えしておきますが、我が党は政権公約に「全てのエネルギーの可能性を徹底的に掘り起こし、社会・経済活動を維持するための電力を確実に確保するとともに、原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立を目指します。」と記しています。自民党は、はっきりと脱原発をうたっている点を知っていただきたいと思います。我々は、これまでのエネルギー政策を真摯に省みて、漸進的ではありますが原発依存からの脱却を進めて参ります。


それから、長くなりますが、「国土強靭化計画」に関するバラマキ批判についてもお答えしておきます。


デフレ・円高を中心とした経済対策は本来、最低でも1年くらいは期間が必要な中期的な政策ですが、昨日、総裁も「10兆円規模の補正を組む」と明言されたように、世間の景気は待ったなしの状況です。
今回、計画されている公共事業は、イノシシかキツネしか通らないような高速道路を作るような事業ではありません。老朽化したインフラの更新や防災対策など、将来的に絶対にやらなければならないもの、また社会資本として将来に残るもの、投資効果がある事業を中心に集中的に投資するものです。投資が、将来倍になって返ってくるような戦略的な投資になるよう事業を精査、吟味して行うものです。


昨今の政治状況では行動一つ、言葉一つで猛烈なバッシングが起きる恐れがありますので、我々として正しいと思う政策をブレずに進めていくことはもちろんですが、国民の皆さん一人ひとりまで真意が伝わるような真摯な取り組みが求められます。
(つづく)