野村ともあき【非公式】ブログ|前堺市議会議員

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国会議員の文書通信交通滞在費を巡る騒動と身を切る改革についての雑感

国会議員に毎月100万円支給される「文書通信交通滞在費」が大きな議論を呼んでいます。
事の発端は、先の衆議院総選挙で10月31日に当選が決まった初当選議員に対し就任一日でありながら10月ひと月分の「文通費」が支給されたことを、日本維新の会の松井代表と吉村副代表が批判したことです。ところが、当の吉村氏自身に6年前に1日でひと月分の文通費を支給されていたことが発覚し、SNSを中心に炎上する騒ぎとなりました。

 

さらに今回の騒動がやぶ蛇となって、維新の組織ぐるみの身内寄付、ダミー団体による政党交付金の還流、セルフ領収書、高額講演料、巨額の組織活動費、豪遊報道、大阪での失政の連続、信じ難いほどの不祥事の多さ、トップ二人がほとんど公務していない事実、一部在阪マスコミとの癒着などの過去の醜聞も掘り返されてしまい、「#維新に騙されるな」などのハッシュタグSNSを賑わせています。

 

維新の会の「ダブスタ・アクロバット批判」や「クロノスチェンジ」あるいは「順逆自在の術」などと揶揄される政治姿勢は、大阪では辟易するほど広く知られた事実なのですが、この度の衆院選躍進で維新への注目が全国的に高まる中、大阪以外の方々には割と衝撃的に受け止められているようです。

 

大阪で長く維新政治に向き合ってきた身からすると、この後、「自分の不祥事」を「社会全体の問題」や「制度の不備」にすり替えて「改革アピール」に偽計されるところまで容易に想像できるのですが、その際よく使われるのが、誤って片足を水際に突っ込んでしまっている手近な人を全力で水の中に突き落とす手法です。仲間だと思ってすり寄られている各党の皆さんにはくれぐれも巻き添えを食わないよう注意喚起をしておきたいと思います。

 

今回の問題に当てはめて言うと、本当であればセルフ領収書やトンネル寄付という制度の抜け穴をハッキングした維新自身が責めを負うべきはずなのですが、それがなぜか「議員の既得権益」ということに批判の対象がすり替えられ、日々の生活に苦しむ有権者ルサンチマンを煽ることで、他党批判の道具にされる(だろう)ということです。ちなみに「他党」には与党も野党も友党も関係ありません。弱みを見せたところがやられます。実際に我々は大阪で、隙を見せた公明党が股をくぐらされた上、靴まで舐めさせられる様を目の当たりにしてきましたので。

 

ところで、文通費の「問題」が「改革アピール」にすり替えられるであろう過程で憂慮されるのが、維新の「身を切る改革」姿勢です。「身を切る改革」とは要するに「俺がキツイことをするから、おまえらも我慢しろ」という「ネガティブ方向への同調圧力」が根底にある「緊縮志向の改革」です。

 

今後、文通費の問題は恐らく維新が(自らの失態を覆い隠すために)「ことさらでかい声」で主張することで、返上→日割り支給→減額という流れで、抑制される方向に「改革」されるでしょう。
大阪において、政務活動費、議員報酬、議員定数……何度も見てきた光景です。断言できますが、国政におけるこの流れは「文通費」で終わりません。

 

政治というのは想像以上に社会に対する影響力が大きく、政治的に影響力の強い方が「こうだ」と言うと社会にその空気感が醸成されることがあります。「景気は気から」とも言われるように、そこに暮らす我々の無意識が社会全体の空気を作るのです。
政治家が緊縮を訴え続けることは、経済を萎縮させ、足の引っ張り合いによって労働に対する対価である給料は下方向に引っ張られます。
実際、現下の日本では2000年頃から進んだ緊縮・構造改革路線によって「痛みに耐える」風潮が根深くはびこっています。
少しデータを引用すると、2000年以降、日本企業の経常利益は(リーマンショック時を除いてコロナ前まで)順調に伸びてきましたが、一方で労働者の給料はほとんど上がっていません。

 

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※引用元:三橋貴明氏の資料サイト

 

まさしく「働くものの身を切る改革」によって乾いた雑巾を絞り続けて来た日本経済の結果、国民生活は破滅寸前のところまで追いやられてしまいました。

「身を切る改革」がなぜ社会にとって良くないかについては、すでに多くの論評がありますが、Twitterで相互フォローをいただいている高橋聡氏のブログがわかりやすいので、代表してご紹介申し上げます。

身を切る改革とは?維新の会や自民党が身を切る意味と嘘を徹底解説
https://so-t.biz/2020/04/29/%e8%ba%ab%e3%82%92%e5%88%87%e3%82%8b%e6%94%b9%e9%9d%a9%e3%81%a8%e3%81%af%ef%bc%9f%e7%b6%ad%e6%96%b0%e3%81%ae%e4%bc%9a%e3%82%84%e8%87%aa%e6%b0%91%e5%85%9a%e3%81%8c%e8%ba%ab%e3%82%92%e5%88%87%e3%82%8b/

高橋氏が指摘するように「年収2500万円の国会議員が100万円身を切るのと、年収300万円の人が100万円身を切るのとでは重みがまるで違います」
また政府(公共部門)と民間企業は社会的役割が異なりますから、特に景気の悪い時期に政府部門の「身を切りまくる」ことは、社会の需要をやせ細らせ景気をさらに悪化させます。
さらに国家財政の規模から言って議員の文通費を半額にしたところでほとんど効果はありません。それよりも、先ほど述べたように極めて社会的影響力の強い国会議員に歳費でも文通費でもしっかりと公正かつ適正に支出して(きちんと仕事をして)いただいた方がその何倍も社会的に良い影響があるでしょう。

私はれいわ新選組を総論で支持する者ではありませんが、面識のある大石あきこ議員がツイートした「維新を倒すための戦費として私は100万円でも何でも使います」というのは、政治家として正しい行動だと思います。

 

問われているのは「有権者の目」です。