野村ともあき【非公式】ブログ｜前堺市議会議員

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「中学校給食の早期実施を求める決議」について

政策

世間は総選挙一色ですが、来週11月21日より堺市議会第4回定例会が開会されます。我々政党人は国政選挙への関与は避けて通れませんが、市議会議員としての本分もおろそかにならないようにしたいと思います。


さて、市議会開会を前に、先の定例会で大阪維新の会堺市議会議員団さんが出された「中学校給食の早期実施を求める決議」についてお話しておきたいと思います。
堺市の維新の会さんは、以前から熱心に中学校給食の実施を求めておられ、先の定例会で維新と共産党以外の会派が決議に反対したことについても、ことあるごとに批判しておられるようです。


誤解が多いようなので最初に断っておきますが、我々は今回の「決議」について反対したのであって、「中学校給食の実施」そのものに反対しているわけではありません。
我々は、数十億〜100億円以上かかる給食事業を、財源の裏付けや計画の道筋もなく「やれ、やれ」とだけ言うのは無責任であるという見地から、先の定例会で決議を無理に提案せず、継続審議か取り下げるよう維新に求めました。


中学校給食については、堺市でランチサポートの全校実施も始まったばかりで検証も済んでおりませんし、大阪市の選択式の給食でも開始時の利用率は13.7％にとどまっているのが現状です。
また、自民党会派としては、これまで校舎の耐震化（これも数十億円の予算規模の事業です）が完了していない現状を鑑み、「給食よりまずは命」を優先し、耐震化を進めるよう堺市に求めて来ました。これらの事業が完了する平成27年度を目途に、様々な検証の上、学校給食についての一定の見解を示すことを行政に求めています。


今回我々は、限られた学校教育予算の中の現時点でのプライオリティを示したのです。「中学校給食」は予算の規模も、生徒、保護者への影響も大きな事業ですから、もう少し丁寧な政策議論が必要ではないかと思います。


地方議会は首長の足を引っ張ることが目的ではありません。行政がよりよい施策を正しく進められるよう促すのが役割です。
しかし今回、維新の会さんは事前の調整もせず、通らないとわかっている決議案をあえて提案しました。私は、議会の場を利用し、有権者ウケの良い政策に「他会派が反対した」という構図を演出したいだけのパフォーマンスではないかという疑念を拭うことができません。（蛇足ながら、先の教育基本条例でも職員基本条例でも、条例としての体をなしていないお粗末なものを提案されておられました）


維新の会さんが出したのは議会の「決議」です。堺市議会として統一意思を示したいというのなら、第一会派として、また提案会派として、円滑な議会運営を行うために他会派との調整を行い、議論を尽くす必要があります。反対した公明党やソレイユや自民党とどの程度、議論をしたのでしょうか？
少なくとも自民党会派の政調会長である私のところには、維新さんから誰一人、提案理由の説明にも、賛否の確認にも来られませんでした。


「決議」の賛否を政局に持ち込みたいのはわかりますが、少なくとも、第一会派として出した議会の「決議」が（自らの力量不足で）共産党以外の全会派に反対された、などということを嬉々として発信されるのは、お止めになったほうが良いのではと老婆心ながら感じる次第です。


また、そもそも中学校給食が大阪府下で大きな課題となったのは、橋下知事（当時）が、中学校給食の実施を府下の市町村に強く求めたからです。その際、橋下知事は（平松前市長時代の）大阪市と堺市だけ差等補助という形で補助金をカットしました。堺の維新の会さんが中学校給食の早期実施をそれほど強く求めるなら、是非とも松井知事に差等補助を解消するよう求めていただきたいと思います。


冒頭申し上げたように、我々は「中学校給食の実施」に反対しているのではありません。
我々は、維新さんが主張する給食アンケートも行ったら良いと考えておりますし、センター方式、スクールランチ方式、自校式、小学校と中学校の連携方式（いわゆる親子方式）などすべての方式について、他自治体の議員とも連携しながら視察や勉強会を重ね、大阪の自民党全体の政策課題として検証を行なっております。これまで、大阪狭山市さんの給食センターや、近隣市へスクールランチのデリバリーを行なっている堺市美原区の施設、50年前から自校調理法式を行なっている和泉市さんの中学校給食についてなどなど、視察をさせていただきました。そこで強く感じたのは、これは非常に政策的に重い判断が求められる事業施策であるということです。大きな予算措置に加え、綿密な計画と周到な準備が必要で、はっきり申し上げて保護者が望んでいるからやれば良いという単純なものではありません。


繰り返し申し上げますが、堺の維新の会さんはどのような財源的裏付けと事業的手順をもって中学校給食を実現させるおつもりなのでしょうか？　是非、議会でお示し願いたいと思います。


今後、議会での議論を重ねつつ、中学校給食の実現に向けて建設的な取り組みが行われるよう努めてまいりたいと存じますので、どうかよろしくお願い致します。